北海道八雲町の国道できのう、高速バスと大型トラックが衝突し5人が死亡しました。
見通しの良い道路で起きた悲惨な事故。
一体何があったのでしょうか。
(岩渕カメラマン)「大型バスと大型トラックがぶつかり前方が大破しているのが見えます」
よく晴れた休日の国道が悲惨な事故現場に一変しました。
原形をとどめないほど前方が壊れたバスにー
トラックに積まれていたブタが、あたりに投げ出されています。
八雲町野田生付近の国道5号できのう正午前、高速バスとブタ30頭を運んでいた大型トラックが衝突しました。
この事故で、バス運転手の興膳孝幸さん64歳とトラック運転手の梶谷誠さん65歳、
バスの乗客3人の合わせて5人が死亡、バスの乗客12人がけがをしました。
バスは札幌から函館に向かう「高速はこだて号」。
3列シートのゆったりとした作りです。
当時15人の乗客が乗っていて、このうち死亡した3人は運転席側前方の3席に座っていたということです。
いちばん後ろの席に座っていて顔をけがした乗客はー
(男性)「急ブレーキを踏んだのかなと思ったんです。頭をガンって打ったので衝撃は結構すごかったです」
別の乗客は事故直後の緊迫した様子を語りました。
(女性)「みなさんで協力して非常扉を開けて、燃料のにおいがするから動ける人だけ降りようと。降りるのが難しい方もいたので手分けしながら降ろして」
現場は札幌と函館を結ぶ国道5号。
片側1車線の見通しのいい道路ですが、よく見ると緩やかにカーブしています。
バスは国道を函館に向かって走行。
トラックは七飯町の養豚場でブタをのせ、八雲町の「と畜場」に向かっていました。
警察は、付近を走っていた車のドライブレコーダー映像などから、
トラックが中央線を越えて対向車線にはみ出し、バスと正面衝突したとみています。
トラック運転手の梶谷誠さんは、この道30年ほどのベテラン。
運行会社によりますと、去年の健康診断で異常はなかったといいます。
(日本クリーンファーム 吉原洋明社長)「本当に申し訳ありませんでした。直近3か月の状況を確認しましたが、長時間労働・過重労働にあたる状況になっていませんでした」
一方、あわせて4人が亡くなった「高速はこだて号」。
バス会社によりますと、運転手の興膳孝幸さんは運転歴15年のベテラン。
当時は法定速度の50キロほどで走行していたということです。
(バス会社)「対向車としては、左側にカーブするというところでそのまま突っ込んでくる形でしたから、急ハンドルはバスの車内事故になってしまうのでそれはできないと。ぎりぎりまで避けたけど難しくてああいう事故になったと」
興膳さんと一緒にこの路線で業務したことがあるという元同僚は悔しさをにじませます。
(元同僚 月宮正人さん)「黄色い追い越し禁止のセンターラインから路肩まで、バスだと本当にぎりぎりのところでその状況で目の前にちょっとでも出てこられたら避けようがないというか、突然目の前に壁が現れたみたいな状況だと思いますね。彼の事故とかお客さまの苦情とかも一切聞いたことはないし、すごく温厚で運転もすごく上手で優しくて。つらくてつらくてきのうからいたたまれない気持ちです」
(恩田記者)「午前7時50分です。きのう事故が起きた高速バスと同じ時間帯の高速バスが札幌駅を出発しました」
札幌と函館を結ぶ身近な交通手段として親しまれている、高速はこだて号。
きょうも乗客を乗せ、事故現場を通過しました。
事故から一夜あけ、現場には献花に訪れる人も。
近所の住民は、事故が起きた現場の安全対策について切実に訴えました。
(近所の住民)「毎日当たり前のように通っているこの道でこんな大きな事故が起きるというのは、いつ自分の身に起こるかもわからないですし、何か対策をしていただかなければ必ずまた起きる現場ですので、町や道のご協力をいただきたいと思って現場に来ました」
亡くなった乗客のひとり、運転席のすぐ後ろ、3番の席に座っていた若﨑友哉さんは、函館市役所に勤める職員でした。
(函館市総務局人事課 葛西亘課長)「若くして主査という係長職に昇任していることもあり、非常に優秀で部下や後輩からとにかく慕われる職員でした」
函館市の大泉市長は・・・
(函館市 大泉潤市長)「非常に痛ましい悲惨な事故でしたので、そこで市の職員が亡くなったということは大変残念です。本当にご冥福をお祈りします。またご遺族にお悔やみを申し上げたいと思います」
休日の国道で発生した悲惨な事故。
警察は、トラックのはみだしについて過失運転致死傷の疑いも視野に捜査しています。