LGBTなど性的少数者への理解増進を目的とした法案が16日、成立した。「良識ある国民が深刻な懸念を表明する中で、与野党合意という異例の形で可決された」ことに懸念を示すのは、国際投資アナリストの大原浩氏だ。大原氏は緊急寄稿で、左派的イデオロギーを押し付ける米民主党の言いなりになることは、「今後の日本にとって大きな重荷になる」と指摘する。
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LGBT法は、その内容もさることながら、「良識ある国民の声」を無視し、与野党が「結託」して法案の採決をごり押しした姿勢が最大の問題だ。背景には、やはり米民主党の圧力があると考えられる。
戦後の歴史を振り返れば、普段、のらりくらりとしている日本政府が「迅速に物事を進める場合」、ほとんどのケースで「米国の圧力」が見え隠れする。
今回のLGBT法についても、エマニュエル駐日大使が5月18日に自身のツイッターで「圧力」と考えられるコメントを発した。大使個人の見解というよりも、バイデン民主党政権の方針であると考えるべきであろう。
バイデン政権に限らず民主党はLGBTQを含むESG投資(環境問題や社会課題、企業統治に取り組む企業を重視した投資)を推進してきた。
だが、ESG投資は米国内でも大きな反発を招き、次期大統領選挙の共和党有力候補であるフロリダ州のデサンティス知事は5月2日、「反ESG(規則)の法案」に署名し成立させた。
いくら米民主党の圧力があったとしても、少なくとも2024年の米大統領選挙の結果がわかるまでは、日本は得意の「のらりくらり戦法」でやり過ごせばよかったはずだった。
恐ろしいのは、LGBT法が成立してしまったことで、民主党の「イデオロギー押し付け」が常態化してしまうことである。
卑劣な暗殺犯によって安倍晋三元首相の命が奪われたのは昨年の7月8日であるから、まだ1年経っていない。それにもかかわらず、自民党内は米国の言いなりのように思える。
戦後の歴代首相の中で、米国に対してはっきりものが言えたのは、田中角栄元首相と安倍氏だけであったと感じるが、安倍氏を失った後の自民党の体たらくは情けない。
LGBT法は、氷山の一角に過ぎない。菅義偉政権時代に唐突に打ち出された「2035年までに新車販売で電動車100%」という方針も、米民主党の「脱炭素」というESG投資による圧力によるものと考えられる。
さらには、最近のマイナンバーカード普及の「強力な推進」も不自然さを感じる。共産主義中国の「社会信用システム」同様、国民を監視・管理することが目的であると考えられる。
LGBT法以外にも「イデオロギーによる国民抑圧」が行われている事例はたくさんある。
米国では、このようなイデオロギーの横暴に対し、デサンティス氏をはじめとする共和党勢力が反旗を翻した。
ところが日本では、米民主党の圧力に屈する形で、与野党が連合していると考えられる。
安倍氏を失った自民党は、かつて小泉純一郎元首相が述べたように「ぶっ壊す」必要があるのではないか。また、作家の百田尚樹氏が「保守新党結成」に言及したが、同氏の「やむにやまれぬ気持ち」は筆者にもよく理解できる。
■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。