北海道八雲町の国道5号で乗客15人を乗せた高速バスとトラックが衝突して5人が死亡した事故で、現場にトラックのブレーキ痕が残っていなかったことが20日、捜査関係者への取材で判明した。道警は、トラックが速度を落とすなどの回避行動を取らずに対向車線にはみ出してバスに衝突したとみて、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の疑いで捜査している。
現場は片側1車線の見通しのよい道路で、現場付近はトラック側からみると緩やかな左カーブだった。道警によると、トラックはセンターラインを越えてバスの右前方に衝突したとみられる。死亡した3人の乗客は運転席の後ろに前から順に座っていたという。
道警は20日までに、死亡したバス、トラック双方の運転手とバスの乗客3人の司法解剖などによる死因を発表した。トラックを運転していた梶谷誠運転手(65)=北海道森町=は全身を強く打ったことによる外傷性ショックだった。バスを運転していた興膳孝幸さん(64)=札幌市清田区=とパート従業員、高清水忍さん(57)=鹿部町=は胸などを強く打ったことによる緊張性気胸。地方公務員、若崎友哉さん(33)=函館市=と、職業不詳、高橋裕美さん(55)=札幌市清田区=は出血性ショックだった。
20日、道警は梶谷運転手の自宅を家宅捜索した。19日夜には、勤務先の養豚会社「日本クリーンファーム」の道南事業所(八雲町)も家宅捜索しており、押収した運転手の勤務状況やトラックの運行実態などの関連資料を分析して原因究明を進める。
事故は18日正午ごろ発生した。八雲町の食肉処理場に豚を運んでいたトラックと、札幌市から函館市に向かっていた都市間高速バス「高速はこだて号」が衝突し、バスの乗客12人も重軽傷を負った。【金将来】