未知の富士山噴火6回の痕跡 山中湖湖底で発見

活火山として噴火を繰り返してきた富士山で、火山灰などを噴出する噴火がほぼない空白期間とみられていた5500年前から3400年前の間に6回の噴火が起きていたことを、東京大大気海洋研究所と山梨県富士山科学研究所の研究チームが突き止めた。火山活動を過小評価していた可能性が浮上し、防災上、重要な知見となりそうだ。
チームは、富士山北東の山中湖の湖底に層状に堆積した火山灰など、噴火による降下火砕物の年代を、上下の地層が含む炭素の同位体の比率を高精度に分析することで特定。過去8000年間の富士山の噴火履歴を調べた結果、空白期間とされていた時期に、少なくとも6回の未知の噴火があったことが確認された。
過去に起きた噴火の研究は陸域の地層を調べることが多いが、浸食などで痕跡が消えやすい。一方、山中湖は堆積物が良好な状態で残っており、これを世界最高性能の装置で分析したため発見できたとみられる。
横山祐典・東京大教授は「富士山の噴火の頻度は、これまで考えられていたよりも高かった可能性が出てきた。未知だった噴火の規模なども調べ、火山防災に役立てたい」と話した。
富士山は、直近では1707(宝永4)年に宝永大噴火が起き、江戸にも大量の火山灰が降り注いだ。