梅雨前線の活発化で短時間に大雨をもたらす線状降水帯が発生した3日、熊本県内では益城町と山都町で1時間あたりの降水量がそれぞれ80ミリを超える猛烈な雨が降った。熊本地方気象台によれば、いずれも7月の観測史上最大で、各地で河川の氾濫や土砂崩れ、住宅浸水などの被害が相次いだ。
木山川が氾濫した益城町砥川では、一部集落が道路冠水のため孤立し、避難が一時困難となった。平屋の住宅に1人で暮らす女性(74)は、避難を呼びかける防災無線を聞いたが、夜間で身動きが取れず、朝には家の近くまで水が迫ったという。「いざとなったら、隣の2階建ての家にお世話にならないといけない」と不安げに話した。
同町木山の男性(71)の約13ヘクタールの水田にも濁流が流れ込み、6月末に植えたばかりだった稲が土砂に埋まった。土砂を取り除いてこのまま被災した稲を育てるという。「いままでここまでの被害はなかったので驚いた。この後も雨の予報が続いており、さらに被害が拡大するのではないか」と話した。
県のまとめでは3日午後1時現在、路肩の崩壊や損壊で、22か所の道路が全面通行止めとなった。益城町田原では木山川沿いの県道28号が数十メートルにわたって崩落した。近くの自営業男性(37)は、「午前7時ごろに窓から外を見ると、ガードレールが川に落ちていた。慌てて家族を車で避難させた後、みるみる道路が崩れていった」と話した。
熊本地方気象台は、「5日は再度、大雨となる可能性が高く、その後も大雨の可能性がある。今後1週間引き続き、警戒が必要だ」と注意を呼びかけている。