安倍晋三元首相銃撃事件は8日、発生から1年となる。この間、現場となった奈良市の近鉄大和西大寺駅前は大きく様変わりした。事件前から進んでいた再開発事業が終わり、安倍氏が銃弾に倒れた歴史的な場所は車道となった。市は当初、付近に安倍氏の慰霊碑を設置することも検討したが、「市民感情を考慮した」として見送りに。慰霊碑は、奈良県内の自民党議員ら有志が現場から離れた霊園に設けたが、依然として現場への設置を望む声もある。
安倍氏は令和4年7月8日、ガードレールに囲まれた市道の中州のようなスペースで、参院選の応援演説中に凶弾に倒れた。現場はその後、市の駅前再開発に伴う整備事業でガードレールが撤去されて車道となり、今年3月、沿道に慰霊の意味も込めた花壇が設置された。
市は当初、現場を緑地帯にして保存したり付近に慰霊碑を設けたりする案も検討したが、「交通に支障が出る」「事件を思い出したくない」などといった近隣住民の意見も踏まえ、最終的には仲川げん市長の判断でいずれもとりやめた。
その後、有志が現場から東に約5キロの「三笠霊苑」(同市)に慰霊碑を建立し、今月1日に除幕式を行った。ただ、自民議員からは「事件の重大性を伝えるためには現場に建てる必要がある」との声も上がっており、有志は今後、現場に事件があったことを示す何らかの印を設置するよう市に求めるとしている。
市によると、慰霊の意味を込めた花壇には、週平均10~15の花束が手向けられてきたという。安倍氏の一周忌に当たる8日の午前9時~午後5時には、有志が大和西大寺駅北側に献花台を設置する。近くに住む男性会社員(43)は、「通勤で現場を通りかかると、花壇に手を合わせている人をよく見かける。安倍さんを失った悲しみは1年たった今も、多くの人の中で続いていると思う」と話した。(西家尚彦)