戦禍に日本警察の技術生かす ウクライナ警察から視察団訪日

ロシアによる侵攻で多くの国民が犠牲になっているウクライナの国家警察鑑識部門の幹部10人が来日し、日本警察から遺体の検視や鑑識技術などを学ぶ研修が10日始まった。戦時下で身元不明遺体の特定が難航する中、東日本大震災を経験した日本警察が、膨大な数の遺体を対象にしたDNA型鑑定を効率的に実施する手法などを伝授する。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)によると、今年6月末までにウクライナ国内の戦乱で犠牲になった民間人は約9千人。兵士を含め数万体の遺体が身元不明とされ、戦禍で確認が難航しているという。
同国国家警察の研修は、国連開発計画(UNDP)のプロジェクトの一環で、5月上旬にウクライナ側からUNDPを通じ、在ウクライナ日本大使館に要請があった。来日した10人は戦闘が激しい地域で勤務しているという。
10日午前、都内で開かれた開幕式で、視察団長のオレクサンドル・シュルハ中佐は「戦争経験を皆さんに伝えるとともに、日本の豊富な経験を見せてもらえることを期待している」と語った。警察庁の筒井洋樹審議官は「遺体を一日も早く家族のもとへ帰すのは警察共通の責務。知見を共有したい」と述べた。
午後には、警視庁麻布署を訪問。刑事課鑑識係員から日本の指紋採取の手法を聞き取りながら、体験した。団員は「やり方が全く違う」などと話し、予定時間を過ぎても係員を囲んで質問を重ねていた。
視察は14日までの5日間の日程で、遺体の検視や事件現場の鑑識、犯罪被害者支援のノウハウも学ぶ予定。13、14日には福島県で震災遺構の請戸小学校跡(浪江町)を訪れ、震災時に検視や身元確認に従事した警察官と意見交換する。(内田優作)