九州北部大雨、死者7人に 安否不明者の友人「早く見つかって」

記録的な大雨で土砂災害や浸水被害が相次いだ九州北部の被災地では11日、安否不明者の捜索が続いた。10日朝に土砂崩れが発生した佐賀県唐津市浜玉町では11日午前、安否が分からなくなっていた79歳の男性が現場から北西約6キロの玉島川河口付近で見つかり、死亡が確認された。毎日新聞の集計で、大雨による死者は福岡県で5人、佐賀県で2人の計7人となった。佐賀、大分両県で各1人の安否が分かっていない。
福岡県では土砂崩れなどで添田町で女性1人、広川町で男性1人が死亡。久留米市では土石流が発生した田主丸(たぬしまる)町で70代男性が亡くなった。県警によると、同市藤山町でも無人の車が見つかり、約3・5キロ離れた田んぼのあぜ道で車の所有者の男性の遺体が見つかった。太宰府市では10日夜、冠水した市道のアンダーパスで50代男性が浮いているのが見つかり、死亡が確認された。男性は市外在住で、現場近くの勤務先に通勤途中だったとみられる。
唐津市浜玉町の土砂崩れでは2棟が巻き込まれ、10日に70歳の女性、11日に79歳男性の死亡が確認された。この男性と同居する娘婿の50代男性の安否が不明で、警察などが捜索を続けている。近くに住むミカン農家の田中紹雄(つぐお)さん(70)は、安否不明となっている50代男性と7日に酒を飲んだばかりといい、「友達が多く、お酒の場では歌を歌ったりもする明るい人。早く見つかってほしい」と祈った。この他、大分県中津市でも女性1人の安否が分かっていない。
気象庁によると、西日本から東日本では12日にかけて大気の状態が不安定になり、局地的に激しい雨が降る見込み。同庁は広い範囲で地盤が緩んでいるとして土砂災害などへの警戒を呼びかけている。【宗岡敬介、五十嵐隆浩、河慧琳】