経済界では“禁句”に…2025年大阪万博「失敗の予感」これだけの理由【政官財スキャニング】

【政官財スキャニング】
政界通(以下=政) 最近、経済界で話題にしないようにしている件があるようだな。
官界通(同=官) 2025年4月開幕の大阪・関西万博のパビリオンの建設が間に合わず、失敗しそうだという話か?
政 そうだ。
財界通(同=財) 確かに遅れはひどい。高所で作業をするとび職などの数が絶対的に不足していて、工事が進まない。高い賃金を示しても集まらないから、「もう計画通りにはできない」と嘆く声が続いている。
官 資材価格の高騰も大変だ。ロシアのウクライナ侵攻以来、世界的に高騰し、輸入に頼る日本は打撃が大きい。
財 そう、建設費は当初計画より何割も上がった。旧財閥系などグループ企業が出し合ってつくるところも、話題にすると「寄付をもっと出してほしい」となるから、みんなダンマリ。資金不足でパビリオンの面白さが低下しかねない。
官 海外勢は、参加国が自費で建てる「タイプA」と万博協会が建てて引き渡す「タイプB」、建物の一部を貸す「タイプC」があり、遅れがひどいのは入場者に最も人気があるタイプAだ。
財 中国やドイツなど約50の国や地域が建設を発表しているが、基本設計をまとめて開催地の大阪市に「仮設建築物許可」を申請しなければならないのに、開幕まで1年9カ月になっても一件も出ていない。
政 間に合わないな。
財 どこも、建設費を簡単には増やせない。でも、日本国民の血税でつくるわけにもいかない。パビリオンを簡素化し、工期を短縮するしかないが、それでも間に合わないところが出そうだ。
政 そんなことでは、大勢の観客を呼べないぞ。
■打つ手なし
官 政府内でも頭を痛めているが、いい手がなく、岡田直樹万博相も弱り果てている。
財 日本勢の分は、大阪府知事と大阪市長が政府に頭を下げ、地元財界を代表する関経連の松本正義会長や万博会長を引き受けている経団連の十倉雅和会長が主要企業に建設資金の上積みを頼むしかないが、簡単ではない。
政 もう万博のような「お祭り」をやる時代ではない、ということかな。
(構成=竜孝裕/ジャーナリスト)