梅雨前線の影響で記録的な大雨に見舞われた秋田県では17日、浸水した住宅の片付けなど復旧作業が行われた。県によると、13市町村で500棟超の住宅被害が確認されたが、広範囲が浸水した秋田市では被害状況の調査が進んでいない。佐竹敬久知事は県の災害対策本部会議で、「市内の住宅被害は数千から万の単位になる可能性もある」との見方を示した。
秋田県内では17日も断続的に雨が降り、秋田地方気象台によると、同日夕までの72時間降水量は、秋田市431ミリ、藤里町346ミリなど、県内6地点で観測史上最大を記録した。
県によると、14河川が氾濫した影響などで、住宅被害は17日午前10時現在、秋田市や五城目町など13市町村に及び、全壊2棟、半壊1棟、一部破損2棟、床上・床下浸水512棟。このうち秋田市の被害は33棟だが、近くを流れる川が氾濫した同市の「横森五丁目町内会」(251戸)が17日、被害状況を調べたところ、聞き取りできた235戸の約8割で床上・床下浸水が確認されたという。
県のまとめでは、17日午前9時現在、7市町で計563世帯1707人が避難している。断水は最大約1万750戸に上り、午前9時現在、5市町の計約8600戸で続いている。
秋田新幹線は17日も秋田―盛岡駅間で終日運休した。JR東日本秋田支社によると、土砂災害のリスクが高いため、被害の確認ができず、運転再開の見込みは立っていないという。
浸水被害が相次いだ地域では、住民らが自宅の片付けなどに追われた。225棟が浸水した五城目町磯ノ目地区では、町内の浄水施設が浸水した影響で断水が続く中、汚れた家具を屋外に運び出したり、車庫にたまった泥をスコップでかき出したりしていた。
自宅でペットサロンを経営する女性(47)は「あっという間に水位が上がり、冷蔵庫や棚など全てが散乱した。断水で片付けもままならず、営業再開の見通しも立たない」と肩を落とした。