横浜地裁小田原支部で18日にあった神奈川県大磯町の老々介護殺人事件の裁判員裁判の判決公判で、殺人罪に問われた藤原宏被告(82)は懲役3年(求刑・懲役7年)の実刑判決が言い渡された。裁判員や公判の傍聴者からは「事件が介護のあり方を改めて考える契機になった」などの声が聞かれた。
判決によると、被告は2022年11月2日夕、約40年間介護を続けてきた妻の照子さん(79)を大磯町の漁港に連れ出し、岸壁から車椅子ごと海に突き落として溺死させた。当時照子さんの介護施設への入所が迫っており、被告は一方的に悲観して事件に及んだ。判決は「犯行態様は悪質で身勝手極まりない」などと批判する一方、被告の長年の介護など「酌むべき事情もある」とした。
「老々介護が今後ますます増える中で、支援体勢がまだまだ弱いように感じた」。判決後に記者会見した裁判員の80代男性はこう振り返った。また裁判員の70代女性も「40年の介護の末になぜこうなってしまったのかについて、今も考えている」と語った。
判決公判を傍聴した小田原市の主婦(66)は母親を7年介護した経験があるといい、「介護は普通40年できることではない。経験上1カ月でも投げ出したくなる。今回の事件を『個人が犯した事件』にとどめず、社会全体で介護制度を見直すきっかけにしてほしい」と話した。【園部仁史】