上司の「アウティング」はパワハラ、異例の労災認定…緊急連絡先の同居パートナーを同僚に暴露

東京都内の保険代理店に勤めていた20歳代の男性が、職場の上司から同意なく性的指向を暴露される「アウティング」の被害を受け精神疾患を発症したとして、池袋労働基準監督署(東京)から労災認定を受けていたことがわかった。上司によるパワーハラスメントにあたると判断されたという。アウティングが労災と認定されるのは異例。
男性と男性を支援したNPO法人が24日、都内で記者会見し明らかにした。
NPOなどによると、男性は2019年5月、職場の上司に対し、緊急連絡先として、同居するパートナーの男性の氏名を伝えた。上司には同性愛者であることを口外しないよう求めたが、その約1か月後、上司が女性のパート従業員1人に同意なく暴露したという。
男性は不安神経症を発症して19年11月に休職し、21年4月に労災申請。22年3月に、「アウティングはパワーハラスメントにあたる」として労災と認定されたという。
会社側は上司の行為がアウティングに当たることを認めた上で、20年10月、解決金を支払ったり社員教育を実施したりすることを約束したという。男性は記者会見で「当時はパニックに陥り自殺も考えた。アウティングは命にかかわる重大な問題であることが広く知られてほしい」と語った。