岡口判事、来春退官の意向=弁護側が陳述、SNS不適切投稿―弾劾裁判

ツイッターなどSNSに不適切な投稿をしたとして裁判官訴追委員会から訴追された仙台高裁の岡口基一判事(57)の第8回公判が26日、国会の裁判官弾劾裁判所(裁判長・船田元衆院議員)であった。弁護側が冒頭陳述し、「裁判官としての威信を著しく失わせる非行には至っていない」と訴えた。
来春に10年間の任期満了を迎える岡口判事が、最高裁に再任を希望しない書面を提出したことも明かした。
訴追状によると、判事は2017年、東京都江戸川区の女子高校生殺害事件に関し、「無残にも殺されてしまった」とツイッターに投稿するなどし、裁判官としての威信を著しく失う非行があったとされる。
弁護側は、判事は認知機能障害などがあると精神科で指摘されており、このために不適切な言動をしたと説明。判決で罷免となった場合、裁判官の身分だけでなく法曹資格も失うとし、これに該当するほどの非行ではないと主張した。
判事は公判後、弁護人を通じて談話を公表。「再任希望を出さず職を辞することにした。唯一の理由は、刑事事件の被害者遺族に不快な思いをさせた責任を取るということだ」と説明し、「反省と謝罪の意を表明致します」とした。
その上で「私人間の紛争で裁判官の地位が剥奪される事態は裁判官の独立、表現の自由の観点から避けるべきだ」と持論を述べた。
[時事通信社]