東京オリンピック・パラリンピックを巡る談合事件で、独占禁止法違反(不当な取引制限)に問われた広告最大手「電通グループ」(東京都港区)は27日、東京地裁(安永健次裁判長)で開かれた初公判で起訴内容を大筋で認めた。検察側はテスト大会計画立案業務と、テスト大会・本大会運営業務の両方を談合の対象とするが、電通は計画立案業務の受注調整への関与は認め、大会運営業務の認否を留保した。
広告・イベント6社と各社の役員ら7人が起訴された一連の事件で法人の公判は初めて。電通は曽我有信副社長が出廷し、法令違反を認めて「深くおわび申し上げる」と謝罪した。大会運営業務の認否は次回公判で明らかにするとした。個人として同法違反に問われた電通元スポーツ事業局長の逸見(へんみ)晃治被告(55)も同じ認識を示した。
起訴状によると、元局長は2018年2~7月ごろ、組織委員会大会運営局元次長、森泰夫被告(56)=同法違反で公判中=と各社の幹部計6人と共謀し、組織委発注の計画立案業務(総額約5億円)の競争入札で、落札予定者を事前に決定し、互いの競争を制限したとされる。落札者はその後の大会運営業務(約432億円)も特命随意契約で受注した。
電通の他に起訴されたのは、博報堂▽東急エージェンシー▽セレスポ▽セイムトゥー▽フジクリエイティブコーポレーション(FCC)。ADKホールディングスは公正取引委員会に最初に自主申告し、刑事訴追を免れた。各社の契約額は113億~15億円とされる。
判決の認定は公取委の行政処分の調査に影響し、大会運営業務も談合とされた場合、全体の契約金額が巨額になり、企業に命じられる課徴金も数億円規模となる可能性がある。【斎藤文太郎】