ヘルメット未着用はダメージ43倍 電動キックスケーター衝突実験

日本自動車連盟(JAF)は、立ち乗り二輪車「電動キックスケーター」を利用する際は、ヘルメットの着用が「命を守ることにつながる」と呼び掛けている。衝突実験の結果から、時速20キロで走行中に転倒した際の頭部へのダメージは、ヘルメットの有無で最大で約43倍の差が生じたという。
ヘルメット着用は「努力義務」
電動キックスケーターの交通ルールは7月1日、大きく変わった。車道では時速20キロでの走行が可能で、16歳以上であれば、運転免許なしで乗れるようになった。ヘルメットの着用も自転車同様の「努力義務」となっている。
JAFは、電動キックスケーターが時速20キロで走行中に歩道と車道の間の縁石や車止めに衝突した場面を再現し、脳や頭蓋骨(ずがいこつ)の損傷程度を示す値(HIC値)を計測した。1000超で脳損傷の可能性があり、3000超だと高確率で重篤な傷害を負うとされる。
縁石や車止めを想定した高さ10センチの障害物に衝突すると、利用者に見立てた人形は前方に転倒して地面に頭をたたきつけた。
この時のHIC値はヘルメット着用時で1231・8、未着用だと6倍超の7766・2となった。
交差点で出合い頭に停車中の車と衝突した際は、人形が車に前頭部をぶつけた後、尻から倒れて後頭部を地面にたたきつける形になった。
後頭部のHIC値は、ヘルメット着用時は147・9にとどまったが、未着用だと約43倍の6346・3となった。
速度が速いほど、歩行者は死亡の可能性
電動キックスケーターは一部の歩道では、時速6キロ以下で走行できるため、正面から歩行者にぶつかったケースを想定した実験も実施した。
利用者が大けがをする可能性は低かったものの、受け身が取りにくい歩行者のHIC値は、時速6キロでも4351・8。走行速度が速いほど歩行者が死亡するリスクが高まる結果となった。
JAFの担当者は「電動キックスケーターの利用者は、あごひもを確実に締めるなど正しくヘルメットを着用した上で、交通ルールやマナーを守り、思いやりをもった運転をすることが大切です」と呼びかけている。【菅野蘭】