泣く子も黙る金融庁が、中古車販売大手ビッグモーター問題の追及に本腰を入れる。自動車保険の水増し請求疑惑に続き、保険代理店としての立場を悪用し、虚偽の自動車保険契約を結んでいた疑いも浮上、保険業法違反の恐れがあるとして実態を調べる。
金融庁は31日にも同社に報告徴求命令を出す。関東財務局も既に同社役員を呼んで任意の聴取を行っており、問題が認められれば業務改善命令などの処分を行う。一定期間の業務停止や保険代理店の登録取り消しといった厳しい措置に踏み切る可能性もある。
関係者の話を総合すると、個人が所有していない車両を対象とした保険契約が昨年、福井県の店舗で複数確認され、捏造(ねつぞう)に当たると判断された。対象車両は車検証がある展示車両などが考えられる。
これまでのところ契約者自体が架空だった事案は確認されておらず、契約件数や手数料収入のノルマがあったかどうかは分かっていないが、従業員が保険料を自己負担した可能性がある。
報告徴求命令は、金融機関や金融商品取引業者による不正な取引などの恐れが生じた場合、金融庁が業務や財務の状況に関する報告や資料の提出を命じるもので、今回は損保7社も対象となっている。
28日には国土交通省が道路運送車両法違反の疑いで同社の店舗を立ち入り検査した。
求人サイトでは「営業職の平均年収1109万円、最高年収5040万円」など好待遇を強調していた同社だが、その裏に不正もいとわぬ体質がはびこっていた疑いが強まっている。
帝国データバンクの調べでは、同社は2022年度の中古車販売市場でシェア15%と業界最大手。帝国データは「消費者の不信感などから中古車需要の減少など風評悪化による影響が懸念される」としており、中古車市場全体への打撃になりかねないと指摘している。