山形県鶴岡市での風力発電計画に対し、ラムサール条約の登録湿地に近く希少な渡り鳥に悪影響を与えるとして住民団体が反対、市が事業者へ事業の中止を申し入れている問題で、皆川治市長は2日の定例記者会見で、計画地近くですでに稼働中の別の風力発電施設付近で、絶滅危惧種クマタカの死骸が見つかったと発表した。風車に鳥がぶつかる「バードストライク」の可能性が高い。皆川氏は、計画中の事業への影響についても「重く受け止める必要がある」と述べた。
計画は、石油元売り最大手エネオス傘下の再生可能エネルギー発電大手「ジャパン・リニューアブル・エナジー」(JRE、東京)が同市加茂地区で大型風車を最大8基建設する「(仮称)加茂風力発電事業」。
市によると、計画地から1・5キロ~3・5キロの場所にラムサール条約登録湿地「大山上池・下池」があり、絶滅危惧種を含む約200種の渡り鳥など野鳥が生息。また計画地周辺ではクマタカをはじめ多くの猛禽(もうきん)類の生息、営巣が確認されている。
こうした中、計画地の近くで令和3年11月に商業運転を始めた「JRE鶴岡八森山風力発電所」(5基)で6月下旬、クマタカ1羽が死んでいるのを同社が発見。同社が環境省へ届けたところ、同省の指示により7月28日、市と県へ報告があったという。
市によると、クマタカの衝突死は全国でも2、3例しかないという。皆川氏は「非常に希少性の高い鳥が死んでいた。重大な案件だ」と指摘。同社が近くで計画中の加茂、三瀬矢引の両風力発電事業にも影響するとの見方を示した。
市によると、国内53の条約登録湿地で登録後、その5キロ未満の範囲内で大規模な風力発電施設が建設された例はないという。
また、稼働中の八森山風力発電所の環境影響評価(アセスメント)の際、周辺にクマタカのつがい5組10羽の生息が確認されており、稼働後に衝突死が確認されたりした場合は、稼働中止も含めた「稼働制限」がかけられることになっている。