岸田首相「マイナ問題」で右往左往 有馬晴海氏「岸田首相を支配するのは『支持率』だ」党内の不一致も浮き彫りに

岸田文雄首相は、来年秋に健康保険証を廃止してマイナンバーカードに一本化する政府方針について、現時点で維持する考えを示す方向で調整に入った。トラブル続発で世論の怒りを受け、一度は「一体化延期」に振れながら、基本方針を維持すべきとの批判を受け、「延期見送り」に傾いたようだ。岸田首相は4日に記者会見を行うが、〝右往左往〟といえる姿勢に「危機管理」や「有事対応」に不安が募るばかりだ。
岸田首相はこれまで、マイナトラブルへの対応について「検討中」と繰り返し、しかるべき時期に、首相自らの口で説明すると強調してきた。
官邸は当初、保険証廃止の延期案を軸に、8日に会見する方向で調整し、一連のマイナトラブルに関する「総点検」の中間報告も同日、公表する方向だった。
ところが、延期のためには6月に成立したばかりの改正マイナンバー法を今秋の臨時国会で再改正する必要があるため、政府与党内から反対論が続出した。
そこで岸田首相は、現時点で延期は見送ったうえ、記者会見を前倒しして方針を説明し、国民の不安払拭に努めるというのだ。
この右往左往ぶりに、周辺からは当惑の声があがる。
マイナトラブルに対応する省庁幹部は「保険証の不正利用防止のためにも、マイナンバーカードとの一体化は重要だった。顔写真すらなく、個人の特定ができない今の保険証の欠点は明らかだ。順を追って手続きを踏まず、丁寧な説明を欠いたばかりに、『前のめり』『不誠実』のそしりを招いた」と嘆く。
自民党ベテランは「岸田首相はあらゆる政策の姿勢に一貫性がない。世論の風向きばかり気にしていては、軸がブレ、結果として信頼を失うばかりだ。今回の記者会見前倒しも、唐突感があり、『後ろめたさがある』と、あらぬ誤解を招く」とあきれる。
自民党の萩生田光一政調会長や、世耕弘成参院幹事長らが延期容認に言及する一方、河野太郎デジタル相らは予定通りの廃止を訴えており、党内の不一致も浮き彫りになっている。
当面の対応として、マイナ保険証を持たない人らに交付する「資格確認書」の有効期限を柔軟化し、無期限も含めた使用容認も検討しているというが、「そうならば、不正を根絶するお題目は何だったのか。結局は玉虫色で危機管理・リーダーシップの欠如が目立つ」(党中堅)と厳しい声も聞かれる。
岸田首相は記者会見で何を〝説明〟するのか。政治評論家の有馬晴海氏は「岸田首相の思考を支配するのは『支持率』だ。とにかく、やっている感を出し、批判をかわすだろう」と語り、続けた。
「一昨年の総裁選で『聞く力』をアピールしたが他人の意見には耳を傾けない。『検討中』『さまざま』という口癖も、聞く耳を持つアピールだが、実際は違う。国民の声を書き留めたという『岸田ノート』も活用している様子は伝わってこない。こうしたキーワードは、総裁選に勝ち抜くための武器で、側近の木原誠二官房副長官が考案したとされるが、その木原氏も身動きが取れない。岸田政権は機能不全に陥り迷走している。意味不明の記者会見になるのではないか」