政府は、現行の健康保険証を廃止してマイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に移行する方針を巡り、マイナ保険証の未取得者に発行する「資格確認書」の運用を見直す。「1年」を上限とする有効期間を「5年以内」に延長することなどが柱だ。岸田首相が4日に記者会見を開き、対応策を発表する。
複数の政府関係者が明らかにした。マイナカードの相次ぐトラブルを踏まえ、国民がマイナ保険証と資格確認書のどちらも選択できる環境を整え、不安解消につなげる狙いがある。
資格確認書は、医療機関の窓口で提示すれば、保険診療を受けることができるものだ。新たな運用方針では、毎年の更新手続きの負担を軽減するため、健康保険組合などの保険者が最長5年の範囲で期限を設定する仕組みとする。
原則として、本人の申請に基づいて交付するとしていた従来方針は修正し、保険者がマイナ保険証を保有していないすべての人に対し、申請を待たずに職権で交付できるようにする。保険診療を受けられない人が出ないようにするためだ。
マイナ保険証をいったん保有しても、利用登録を解除すれば、資格確認書を取得することも可能とする。資格確認書の様式については、現行保険証と同じ紙やプラスチックのカード型とし、発行の事務負担を最小限にとどめる方向だ。
首相は、現行保険証の廃止時期を2024年秋から延期するかどうかについては当面、判断を留保する考えだ。今秋までに完了させる関連データの総点検の結果などを踏まえ、改めて検討する。
廃止時期を巡っては、自民党の萩生田政調会長などから延期を求める声が上がり、政府内でも延期案が検討された。しかし、延期をする場合、6月に成立した改正マイナンバー法を秋の臨時国会で再改正する必要がある。国会審議は紛糾が必至で、首相の衆院解散戦略に影響しかねず、慎重に判断する考えに傾いた。
これに関連し、首相は3日、訪問先の群馬県高崎市内で「デジタル化に向けた決意と、その前提となるマイナカードに対する国民の信頼回復のための対策について、記者会見を明日の夕刻開いて説明したい」と記者団に語った。首相は群馬県庁では、マイナカードと連携した交通系ICカードを使ってバス料金の支払いを体験し、デジタル化を進める重要性をアピールした。