長崎被爆者ら落胆、「声聞いてほしかった」…原爆の日式典への首相ら参列見送り

台風6号の接近で、長崎原爆の日(9日)の式典会場が屋外から屋内に変更され、被爆者や岸田首相、各国の駐日大使らの参列が見送られたことを受け、長崎原爆の被爆者からは落胆の声が上がった。
日本原水爆被害者団体協議会(被団協)代表委員の田中重光さん(82)は「ロシアのウクライナ侵略で核兵器が使われる危険性が高まっている今、岸田首相や各国大使が被爆地に来られないのは非常に残念」とした上で、「被爆者の声を聞いてほしかった。今後、岸田首相には何らかの形で長崎を訪れてほしい」と話した。
長崎原爆遺族会会長の本田魂さん(79)は「天気にはあらがえないので仕方がない。高齢の被爆者が安全に過ごせることが一番大切だと思う」と語った。また、「式典に参列できなくても、8月9日に核兵器廃絶と平和を祈る気持ちは何ら変わらない」と述べた。
岸田首相の欠席に伴い、県内の被爆者4団体が予定していた首相宛ての要望書提出の取り扱いについては、今後、検討するという。
一方、長崎市教育委員会は7日、同市立の小中高校の9日の登校日を中止にすると発表した。市教委の担当者は、「長崎原爆の日は、特別な日であることに変わりはない。それぞれが思いを巡らせて、犠牲者を悼む日にしてほしい」としている。
佐世保市教委も、同市立小中学校の9日の登校日を中止すると発表した。