安倍派は分裂の運命か…「集団指導体制」復活で中堅・若手に「もうダメだ」と落胆ムード

自民党安倍派は17日に幹事会と総会を開き、新体制への移行を議論する。会長職を空席とした上で、塩谷会長代理を「座長」とし、「常任幹事会」(仮称)を設置して新たな意思決定機関とする方向。事実上、萩生田政調会長、西村経産相、松野官房長官、高木国対委員長、世耕参院幹事長の「5人衆」らを中心とした「集団指導体制」となる。
いったんは否定された集団指導体制の復活には、ベテランだけでなく、中堅・若手の不満もくすぶる。これで一件落着かといえば、さにあらず。最大派閥の先行きはますます不透明になっている。
「5人衆が後継問題を主導しようとし、軽んじられてきた塩谷さんに派内の同情が集まった。そこで『塩谷会長でもいいか』となりかけたにもかかわらず、塩谷本人が5人衆に取り込まれた。結局、迷走した挙げ句、5人衆+森元首相による集団指導体制に戻った。こんな醜態を見せていたら、数はあっても力はないと、党内でバカにされてしまう」(安倍派中堅議員)
この派閥はもうダメだ
中堅・若手の関心は、まもなく行われる内閣改造・党役員人事での自分のポストにある。ちゃんとした「会長」が不在では、いくら最大派閥といえども岸田首相に軽視されかねないと懸念しているのだ。実際、安倍元首相死去後の昨夏の人事では、多くの中堅・若手に不満が残ったという。
「『会長を1人に絞り込めるなら、もう誰でもいい』という声すら、中堅・若手にはある。その場しのぎの集団指導体制という対応で、派内がまとまるわけがない。今回の後継問題で、中堅・若手に『この派閥はもうダメだ』という落胆ムードが広がっている。今度の人事次第では、派閥からボロボロこぼれる者が出てくるかもしれない。派閥は分裂含みの様相だ」(前出の中堅議員)
8日は、もうひとりの会長代理の下村元文科相が塩谷と会談し、「会長を選ぶべきだ」と集団指導体制に反対した。
ここへきて、派閥を支配したい森元首相の“老害”も露骨になっている。物見遊山の海外視察が批判されている“エッフェル姉さん”松川るい参院議員は安倍派所属。マイナス材料だらけだ。“寄らば大樹”だった安倍派も、いよいよ分裂の運命か。