台風7号が近畿縦断 鳥取97.5ミリの豪雨 2府7県で計53人負傷

台風7号は15日、近畿地方をゆっくりと北上して縦断し、近畿、中国地方で記録的な大雨になった。台風の中心から離れた場所で雨雲が発達し、気象庁は同日午後4時40分、鳥取市に大雨特別警報を発表した。毎日新聞のまとめでは暴風で転倒するなどして近畿、東海、四国地方の2府7県で計53人が負傷。新幹線が運休するなど交通機関も乱れ、お盆の帰省や観光の足に大きく影響した。
台風7号は15日午前5時前、和歌山県・潮岬付近に上陸して大阪湾に抜けた後、兵庫県明石市付近に再上陸した。15日午後9時現在、兵庫県豊岡市の北北西60キロ付近を時速約15キロで北に進んでいる。中心気圧は990ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は23メートル、最大瞬間風速は35メートル。台風は16日から17日にかけて日本海を北上するとみられる。
気象庁は15日朝、鳥取県と岡山県で線状降水帯による大雨が降ったとして「顕著な大雨に関する情報」を発表。鳥取市では観測史上最大となる1時間に97・5ミリの豪雨を記録した。同日午後9時までの24時間雨量は、岡山県鏡野町で524・5ミリ、鳥取市で510・5ミリを記録し、いずれも過去の記録を約200ミリ上回る大雨となった。鳥取市の佐治川ダムは貯水できない状態が近づき、流れ込む水量と同じ量を下流に流す緊急放流を実施した。
暴風による負傷者も相次いだ。台風の影響で静岡市駿河区では竜巻が発生して乗用車1台が横転し、車内にいた50代の男性が軽傷を負った。兵庫県内では強風にあおられて転倒するなど16人が重軽傷。和歌山市では落下してきた建物の壁の板に当たったとみられる市内の男性(60)が倒れており、搬送時は意識不明の重体だった。
交通の便も大きく乱れた。東海道・山陽新幹線は計画運休で15日の終日、名古屋―岡山間の運転を取りやめた。JR東海は東京―名古屋間でも大幅に列車の本数を減らして運転した。新幹線は16日には通常運行の予定で、混雑も予想される。京阪神地区の在来線もJRや私鉄が相次いで急きょ運転を取りやめ、通勤客らの足に影響した。
空の便も大阪(伊丹)空港や関西国際空港の発着便がほぼ全て欠航になった。【柳楽未来、山田泰正、皆川真仁】