天皇陛下は15日の全国戦没者追悼式でのおことばで、2020年から継続してきた新型コロナウイルスへの言及をされなかった。宮内庁幹部は「(新型コロナの)5類への移行や、最近の経済や社会の情勢、国民の意識などを踏まえて言及されなかったのだと思う」と話している。
20年春から新型コロナの感染が拡大し、陛下は同年の追悼式では前年の内容に「私たちは今、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、新たな苦難に直面していますが、私たち皆が手を共に携えて、この困難な状況を乗り越え、今後とも、人々の幸せと平和を希求し続けていくことを心から願います」との一文を加えた。21年は新型コロナの状況を「新たな試練」とし、22年も「さまざまな困難」と表現した。
今回は新型コロナに関する一文を「これからも、私たち皆で心を合わせ、将来にわたって平和と人々の幸せを希求し続けていくことを心から願います」と変更した。陛下は新型コロナの感染症法上の位置付けが今年5月に5類に移行した後、他の式典のおことばでも新型コロナに触れていない。【高島博之】