好意を寄せていた同僚の20代女性の水に、トリカブトの毒成分を入れて急性中毒にさせたとして、警視庁は都内の病院に勤務する診療放射線技師の男(27)を傷害容疑で逮捕した。
男は今年6月8日、勤務先の病院でトリカブトの毒成分「アコニチン」を注射器を使ってペットボトルに混入させ、同僚女性を急性毒物中毒にさせた疑いがある。
6月16日にも覚醒剤を同僚女性の水に混入させたのを目撃されて、すでに覚醒剤所持の疑いでも逮捕・起訴されており、調べに対し「好意を持っている女性を介抱することで距離を縮めたかった」と話しているが、容疑については「知らないうちに混ざってしまった」と否認しているという。
好意を寄せる女性を振り向かせるため、トリカブトの毒成分を盛って介抱するという、ゆがんだ愛情が引き起こしたとみられる今回の事件。精神保健福祉士で依存者を支援するアローグループの澤木幾佐氏は、同容疑者について「性依存の状態にあったのでは」と指摘する。
「性依存とは精神的・社会的リスクを顧みずに問題行動をしてしまう状態で、単なる性的欲求の強さとは異なる。行動がエスカレートしていく傾向にあり、被害女性の水に混入させた物質がトリカブトから覚醒剤へとエスカレートしたのは1つの特徴」
実際、性依存者の中には、下着泥棒から盗撮、自宅侵入、最終的には性的暴行などへと発展して、逮捕されるケースも少なくないようだ。
性依存は進行するため、性的暴行などで問題が発覚するまでに、より重度な状態に陥る人は多いという。澤木氏は「いち早く周囲が気づいてあげて、依存症更生プログラムを受けさせてほしい」と訴えた。