最も身近な乗り物の一つである自転車の事故が後を絶たない。免許証のいらない気軽な移動手段として親しまれる一方、信号無視やスマートフォンを操作しながらの運転といったルール違反も目立つ。こうした事態に府警は取り締まりや指導に本腰を入れている。【堀祐馬】
天神橋筋商店街で
「あ~、ちょっとちょっと! ここ自転車降りて押してください。おおきに」
大阪市北区の天神橋筋商店街では、秋の交通安全運動が始まった21日、地元の寄席「繁昌亭」で人気の落語家、桂三風さん(58)がこう関西弁で語りかける音声アナウンスを流す取り組みを始めた。
26日には三風さんと天満署の礒野浩芳署長らが商店街で通行人に対して降りて通行するよう直接呼びかけた=写真<上>。
全長約2・6キロと日本一の長さを誇る同商店街では、歩行者との衝突を避けるために日中から夜間にかけて自転車に乗っての通行が制限されている。商店街での事故はあまり報告されていないが、同署管内では自転車事故が続発しており、目抜き通りでの啓発を通じて自転車マナー向上につなげたい考えだ。
天満署が自転車事故防止に注力する理由は、人身事故に占める割合の高さにある。8月までに管内で発生した人身事故271件のうち、自転車が絡むものは101件と37・3%を占め、府内全体の32・7%よりも高い。自動車同士の事故とは違い、軽微な歩行者との衝突事故などは警察に報告されない場合も多く、実際はより多く発生しているとみられるという。
そのため、署は8月までに信号無視などで再三の警告にも従わなかった悪質な自転車41件を検挙し、取り締まりを強化。署は「免許証が必要ない分、交通ルールをしっかり守り、事故抑止につなげる必要がある」とする。
高齢者に運転指導
高齢者への安全対策も欠かせない。淀川署では22日、高齢者を対象にシミュレーターを使った自転車の乗り方指導教室を開いた。自転車を模したハンドルやペダルでモニター上の自転車を操作、運転内容を機械が評価してくれるというものだ。
シミュレーターでは交差点で左右確認を怠ったり、スピードを出しすぎたりして歩行者や車と接触する「事故」が相次いだ。毎日自転車に乗るという大阪市淀川区のパート従業員、吉成佳世子さん(63)は「見通しの悪い交差点などではますます気をつけて運転しないといけないと思った」と気を引き締めた。