《暴力行為等処罰法違反(常習的脅迫)などの罪に問われた元参院議員のガーシーこと東谷義和被告(51)の初公判は、検察側の冒頭陳述に続き、証拠調べが始まった。検察官が、提出した証拠の要旨を読み上げていく。被告に対する告訴状を警視庁に提出した俳優の綾野剛さんの調書の要旨も読み上げられた》
検察官「(東谷被告の動画によって)ファンが離れ、精神が崩壊する。(東谷被告の)存在自体が恐怖だった。人を信頼する気持ちや自己肯定感をズタズタにされ、悩み苦しんだ末に告訴を決めた。二度とこのようなことをしないでほしい。厳しい判決を望む」
《続けて調書の要旨が読み上げられたのは、東谷被告を古くから知るジュエリーデザイナーの男性。被告の動画による影響で、経営していたジュエリーブランドの事業終了を余儀なくされたという》
検察官「動画を見た人からSNSに『ブランドは終わり』『性犯罪者』『誰が買うねん』など誹謗(ひぼう)中傷のコメントが続々と届いた。事実無根だが、ブランドのイメージが悪くなる。(ブランドに関わる)他の人に迷惑はかけられないと事業を終了した」
《既に契約していた東京都内の店舗は途中解約できず、1億円以上の損害が出たほか、設備投資に投じた費用も回収ができなくなったという》
検察官「絶対に許すことができない。厳正に処罰されてほしい」
《さらに、他の被害者の調書の読み上げが続く》
検察官「妻の旧姓や勤務先などの個人情報が現在もネット上で確認できる。刑務所に入るような処罰を望む」
《証拠調べは、東谷被告らによる動画制作やその収益に関する内容へ移った。動画制作を担当していた男性の調書の要旨が読み上げられる》
検察官「東谷被告が借金を返済するため、お金が必要ということだった。被告は(本件とは)別の容疑で警察に追われていたため、(ドバイで撮影していながら居場所が特定されないように)時計をハワイ標準時にしたり、暑いのに長袖を着たりしていた」
《被告は動画の収益の半分を得ていた。動画で扱う人物や投稿時期などは被告が決めていたという》
検察官「(令和4年)3月には1カ月当たりの収益が1千万円を超え、4月、5月は2千万円を超えた」
《東谷被告による動画は、令和4年2月18日から11月4日までの間に、少なくとも約50本が投稿され、動画で取り扱われた人物は俳優やアイドル、スポーツ選手など30人以上にのぼった》
《東谷被告は「どんどん拡散させてほしい」と「切り抜き動画」の制作も歓迎。その影響力はさらに拡大していった》
検察官「切り抜き動画の制作者らが入っていたLINEグループには400人以上が加入していた」
《東谷被告による動画の収益が振り込まれる口座には、グーグルから約1億2千万円、他社からも約1億円の入金が確認された。東谷被告や親族の口座には、その収益から計約8千万円が振り込まれていたという》