クマ被害急増で環境省が異例の呼びかけ要因は大凶作によるエサ不足?被害防ぐ「ベアドッグ」も…クマ対策のプロ「市街地でも熊鈴は重要」【news23】

クマによる人への被害が全国的に増えていることを受けて、環境省は調査・捕獲などの緊急支援を検討しています。特別な訓練を受けた「ベアドッグ」などで自治体のクマ対策を担う人物は「市街地でも熊鈴が重要」と話します。
全国で相次ぐクマによる人への被害。環境省が異例の呼びかけです。
伊藤信太郎環境大臣「今年度の大量出没を受け、緊急的な支援の実施を検討してございます」
環境省によると、熊に襲われるなどの被害に遭った人の数は先月末の時点で109人。被害は全国各地で相次いでいて、特に多いのが岩手県と秋田県です。被害者の数はこの1か月ほどでさらに増えています。
先週、秋田県内の自宅の車庫で熊に襲われた男性が、その恐ろしさを語りました。
クマに襲われた湊屋啓二さん(66)「コォーコォーとすごい声を出しながら襲ってくるので、もうその時、死ぬなと思いました。一瞬、クマが執拗に頭を攻撃してくるのが止まったんですよ。その隙に私も必死なので、立ち上がって全速力で出せるだけの力を出して(逃げた)」
24日も被害が相次いだ秋田県。羽後町のゴルフ場ではゴルフボールを回収していた70代の女性がクマに襲われました。意識はあるということです。秋田県内では、24日だけで4人がクマに襲われケガをしています。
環境省は、人里周辺のクマの調査や捕獲など、地域のニーズに応じた緊急的な支援の実施を検討しているとしています。
そもそも、なぜクマによる被害が、今年は多いのでしょうか。岩手県では…
網張ビジターセンター坂内美佳解説員「まったく実がついていない状態」
クマの食料となるブナの実が今年は大凶作で、エサを探して人里に降りてきているのだといいます。
網張ビジターセンター坂内美佳解説員「クマたちも冬ごもりに入る前に栄養を取っておかなきゃいけないので、彼らも必死だと思う」
環境省は、人への被害を防ぐポイントの一つに、クマを人里に引きつけないことを挙げています。
「ワンワンワン!」
犬が吠える先に見えるのは、木に登った熊の姿。吠えているのは、「ベアドッグ」という熊を追い払うための特別な訓練を受けた犬です。
NPO法人ピッキオ田中純平さん「人とクマの間に立って、クマ対策に使われているプロの働く犬です」
長野県軽井沢町からクマ対策を依頼されているNPO法人。ワナで捕獲した熊に電波発信器を装着し、森に戻したあと、人里に近付いたことがわかったらベアドッグなどで威嚇し、追い払うという活動を行っています。
長年クマと向き合ってきた田中さん。森や山だけでなく、市街地でも熊鈴などを身につけることが重要だと話します。
NPO法人ピッキオ田中純平さん「クマが市街地に出て『どうしよう』と茂みに潜んでいる場合がある。隠れているところまで(人間が)静かに接近してしまうと、パッと出てきたクマと出会い頭で、クマもパニックになる。最近クマが出ているなという市街地があれば、通常鳴らさないかもしれないが、鈴を持ちながら作業・散歩するだけでも防げる事故があるのではないか」