少年たちの間で広がる大麻汚染を防ぐための啓発チラシの製作にあたり、奈良県警少年課は大麻を使用して奈良少年院(奈良市)に入所している少年らに、経緯や現在の心境などを尋ねるインタビューを実施した。記者も同行し、軽い気持ちで手を出すと抜け出せなくなる大麻の実態が見えた。
「初めて大麻を使ったのは中学2年の時、興味本位だった」。インタビューに応じた元少年(20)は落ち着いた口調で話し始めた。
使用する前は大麻に怖い印象があり、自分だけはやらないと思っていた。当時関わっていた先輩らからは「身体が軽くなった感覚で面白い」「飯がうまくなる」「捕まらない」という話を頻繁に聞かされ、次第に怖さは興味に変わっていったという。
先輩から大麻を譲り受け、人気のない団地の外で初めて大麻を吸った。最初は身体の変化に気づかなかったが、使用量を増やした2回目からは、歯止めが利かなくなっていった。誰に注意されてもやめられないようになっていた。吸っていないとイライラすることもあった。
「薬物使用は自己責任で、悪いと思っていなかった」。さらに依存の度合いが進むにつれ、「人間関係がだらしなくなっていった」といい、「ドラッグとお金が中心の生活になった。薬物のために、犯罪でお金を稼ぐようになった」と振り返る。
しばらくして、大麻を吸いに行こうとしたところを現行犯で逮捕された。少年院に入所している現在の心境を尋ねられると、「ドラッグのせいで、家族や友達からの信頼を失った。ほかにも、時間やお金など失ったものばかりだ」と答えた。「今はインターネットで、ドラッグがより身近にある時代。自分の人生を無駄にしないためにも、絶対に手を出してはいけない」と強く訴えた。
同課によると、令和4年に県内で大麻の所持・使用で検挙されたのは70人に上り、うち5人が20歳未満の少年だった。県警はインタビューの内容を踏まえチラシを作成し、今後県内の中学や高校の薬物依存について考える授業などで配布する予定。
同課の田中仁次席は、「若者の間では、『すぐやめられる』『合法だ』という間違った情報があふれていることが背景にある」と指摘。「チラシ制作などの活動を通して、増加する大麻使用に歯止めをかけていきたい」と話した。(堀口明里)