万博建設費増額、大阪府市が受け入れ 吉村知事「皆さんにおわび」

大阪府と大阪市は1日、最大2350億円に上振れする見通しとなった2025年大阪・関西万博の会場建設費について、増額分の負担を正式に受け入れると表明した。増額は20年に続く2度目で、当初の1250億円の1・9倍となる。国、府市、経済界の3者が3分の1ずつ負担するルールで、経済界も同日、増額を認めるコメントを発表した。国も開会中の臨時国会に提出する補正予算案に盛り込む予定で、近く増額を容認する。
会場建設費は外国の要人を迎える「迎賓館」やメイン会場の「大催事場」などに関する費用。資材や人件費の高騰を背景に、政府が8月、日本国際博覧会協会に必要額を精査するよう指示し、協会が10月20日、3者を前に500億円の増額が必要との結果を公表した。
協会によると、内訳は資材費が443億円、人件費が84億円それぞれ増え、不測の事態に備えて予備費130億円を追加、工事内容の見直しなどで157億円を圧縮した。3者は「説明が不十分」などとして受け入れの判断を保留、府市は物価上昇の算定方法やコスト削減の内訳、予備費の金額の妥当性などについて、協会に詳細を回答するよう求めていた。
1日は府庁で府市の万博推進本部会議が開かれ、吉村洋文知事、横山英幸市長らが出席した。協会の高科淳副事務総長が、前回増額時に資材費や人件費の変動対応分として150億円を見積もったが、実際には物価上昇の影響で493億円が想定され、対応できなくなったと説明。「厳格な執行管理とコスト縮減に努め、増額は今回が最後となるよう取り組む」と述べ、今後は協会理事会で随時執行状況を公表し、予備費を使う場合は事前に協議する考えも示した。
府市は協会の回答に加え、府市発注の公共工事の実績から算出した物価上昇率と比較するなど独自の検証結果も踏まえて、「増額はやむを得ない」と判断。増額分500億円の3分の1となる約167億円を、府と市で折半すると決めた。今後、府市の両議会に説明し、必要な予算を提案する。
会議後、横山市長とともに報道陣の取材に応じた吉村知事は「この3年間で急激な資材、人件費の高騰があった。前回増額時に2度目はないと確認し、そう説明したが、府民、国民の皆さんにおわびします。その分、日本全体に経済効果が及ぶ万博を目指したい」と述べた。
経団連、関西経済連合会なども1日、連名で「協会の精査結果について、万博の成功に向けて避けられないものと受け入れる」とのコメントを発表した。【野田樹、戸田紗友莉、池田直】
増額分、どうまかなうかが焦点
2025年大阪・関西万博の会場建設費が最大2350億円に上振れする見通しとなり、国、大阪府・市、経済界の負担額は17年の閣議了解に従って、それぞれ3分の1の約780億円ずつとなる。府市と経済界が1日、そろって負担増を受け入れたことで、今後は国の追加の財政措置や、今回増額分の500億円をどうまかなうかが焦点となりそうだ。
府は国に対し、全国的な万博の機運醸成を目的とした新たな交付金制度の創設を求めている。万博への修学旅行や万博の目玉に据える「空飛ぶクルマ」の離着陸場(ポート)整備への補助などを想定しているといい、会場建設費以外のところで国費負担を広げてもらう狙いがある。
会場建設費を巡っては、20年12月に1250億円から1850億円に増額となった際、府市の両議会は「さらなる増額が必要となった場合は国が責任を持つ」よう求める意見書を相次ぎ可決した。今回、日本国際博覧会協会(万博協会)が2度目の増額を公表した10月20日にも、府議会の最大会派で万博を推進してきた大阪維新の会が、改めて府に増額分の国負担を要望するよう要請。「身を切る改革」を党是にしてきただけに、有権者の批判の的となりかねない支出増に忌避感をにじませた。
関係者によると、政府内では「デジタル田園都市国家構想」の交付金活用案が浮上しているというが、府幹部は取材に「この交付金にはデジタル活用による地方創生など、もともとの制度趣旨がある。我々が求めているのは『万博枠』の交付金だ」と話す。全国知事会も、政府が11月初めの閣議決定を目指す総合経済対策で、地方が万博推進のため柔軟に活用できる交付金制度の創設を要望している。
一方、経済界は全額を企業からの寄付でまかなう方針だ。開幕までに700億円超が集まる見通しで、今回の増額でさらに80億円近くの集金が必要になる。経団連が中心となって進めるが、状況次第では「日本万国博覧会記念基金(万博基金)」の活用を検討する。経団連は1日に発表したコメントで「寄付以外のさまざまな資金拠出方策についても政府などと検討していきたい」とした。
基金は1970年大阪万博の入場料などの収益約195億円から、万博記念公園(大阪府吹田市)の大規模改修費約40億円を除いた約155億円を原資に設立された。公益財団法人「関西・大阪21世紀協会」が国債などで運用し、現在の残高は約190億円。年間運用益は約3億円で、半分は府に寄付して万博記念公園の維持管理に、残りを文化振興の助成事業に使っている。17、18年度は運用益から計3億円を25年万博の誘致活動に充てた実績がある。【東久保逸夫、宇都宮裕一、藤河匠】