徳島県立高配備のタブレット端末が大量故障 2割不足、授業に支障

徳島県教育委員会が「1人1台」と銘打って県立高校などに導入したタブレット端末に故障が相次ぎ、約1万5000人の生徒の2割超にあたる約3500人が端末を手にできない状況に陥っている。なぜ大量故障の事態となったのか。
コロナ交付金で導入
県教委によると、タブレット端末は2021年4月に県立高校27校▽中等教育学校1校▽特別支援学校1校――の計29校に配備。新型コロナウイルス対策で国が20年度に地方自治体に給付した地方創生臨時交付金約8億円を使った。20年に実施した入札に参加したのは高松市の1社のみで、中国メーカー「ツーウェイ」社製の1万6500台が納入された。
児童・生徒に1人1台パソコンなどの端末を配備する国の「GIGAスクール構想」を受け、県教委は国が提案する仕様より高性能のタブレット端末(1台当たり4万8000円)を選んだ。新型コロナの感染拡大期には、生徒が端末を利用して在宅で授業を受けた例もあり、教育環境維持に貢献した。
端末は5年間使用して更新する予定だったが、配備した21年度に694台で故障や破損が発生。翌22年度は627台で、修理や予備機で対応してきた。7月下旬、一部の学校から内蔵電池が膨張する故障の報告が複数あった。県教委が調査を進めると、23年度は9月までの半年間で2859台に達した。このうち約8割の2312台は電池膨張が原因だった。
10月に改めて各校へ調査を指示したところ、わずかな膨らみなどが相次いで見つかり、故障機の使用を中止。一部は代替機を手当てしたが、10月中旬時点で約3500台(約3500人分)が不足している。
配備直後にも不具合
「対応がずさんで、お粗末」「入札・調達のプロセスにおいて競争性があったのか」――。
10月30日、徳島県庁3階の記者会見室。後藤田正純知事が開いた臨時記者会見は、張り詰めた空気に包まれた。県教委担当者も同室に控える中、後藤田知事は県教委への不信感をあらわにした。テーマはタブレット端末の故障問題だったが、選定機種や調達時の経緯にも疑問が投げ掛けられた。
会見では後藤田知事に促された県教委担当者が、21年に端末が保管庫内で発火した可能性がある事案などについて説明する場面も。配備直後から問題が発生していたことが明らかになった。
端末は使用後、教室にある専用の保管庫に収められる。盗難防止のため施錠し、保管中に交流電源で充電する仕組みだ。電池メーカーなどで作る一般社団法人「電池工業会」(東京都)のサイトでは、タブレット端末で使われているリチウムイオン電池について「熱がこもる場所での充電はしない」と紹介されている。充電時はタイマーが作動するため過充電の恐れは低いが、30~40台が一斉に充電を始めると発熱し、換気や空調機能のない狭い保管庫内が高温となった可能性が高い。
県教委は故障の原因として、経年劣化と今夏の酷暑を挙げる。しかし、10月26日に記者会見した榊浩一・県教育長は、保管庫の上部に収納した端末や、校舎南側の教室の窓際に設置された保管庫に収納している端末が壊れる傾向にあると説明。保管庫の構造や設置場所に原因があった可能性もある。県教委は今後、専門家の意見を聞いて原因を調査するとしている。
「1人1台」態勢が難しくなったことにより、一部の学校現場では必修科目の「情報Ⅰ」をパソコン教室で実施するなどの影響が出ている。県教委によると、年度前半は主に座学、年度後半は実習という内容で、まさにタブレット端末を使った実習が本格化する時期に大量故障という事態となった。
情報Ⅰ以外の授業でも、各校で現在、複数の生徒が1台の端末を共用するなどして対応している。榊教育長は「『1人1台』に比べると、活用の度合いは少なくなるので(学習の)質としては良くない」と認めており、生徒の習熟に影響が出る恐れもある。
新規調達、補正予算で対応
膨張した電池は薄型の端末本体も変形させているケースが多く、電池交換だけでは対応できない可能性が高い。メーカーの保証期間は既に切れており、榊教育長は「同じこと(故障)が起こる可能性があるので、修理して使うことは考えていない」と説明。リースを含め新規調達する場合は多額の予算が必要で、県は11月下旬にも編成する補正予算案に計上する方針だ。後藤田知事は記者会見で「子どもたちの教育機会均等に向けて最大限努力する」と発言。方針が決まり次第、議会の議決が不要な専決処分なども含めて早急に対応する考えを示した。【植松晃一】