「イギリスては当然」埼玉県の“虐待禁止条例”を擁護した上野通子首相補佐官の言い分とは

自民党県議団の田村琢実団長が音頭をとり埼玉県議会に提出された虐待禁止条例の改正案。子を持つ親たちから猛批判を浴びとうとう撤回に追い込まれたのは こちら で記したとおり。
ところが、この怪条例を擁護する人物がいる。岸田文雄首相の右腕として「女性活躍」を任された上野通子首相補佐官(65)である。
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民主党一強だった参院栃木選挙区でまさかの当選
上野氏は1958年、栃木県宇都宮市で学校法人宇都宮学園を経営する一族に生まれる。大学卒業後は系列校で国語の教鞭をとっていた。同じく系列校の校長を務める夫のイギリス留学を機に家族で渡英。帰国後の2003年から栃木県議を2期、10年の参院選に自民党公認で出馬し初当選を果たした。
自民党栃木県連幹部が語る。
「当時、参院栃木選挙区は民主党・簗瀬進氏の一強だった。一縷の望みをかけたのが、新顔で女性の上野氏でした。まさか勝つとは思わなかったので、当選した時は驚いた」
13年、第二次安倍内閣で文部科学大臣政務官に就任。昨年の参院選も圧勝し、現在3期目。先月15日には女性活躍と高齢者・消費者対策を担当する首相補佐官に抜擢されている。恵まれた生まれのもと、順調にキャリアを積む上野氏だが、こんな一面もある。
「過去に旧統一教会の友好団体の会合に会費を支出していたことが昨年になって判明。教団と関わりを持っていたことが明るみに出ました。県連の中では上野氏を推すことを嫌がる声も多い」(政治部記者)
物議を醸す怪条例を持論を交えて賞賛
そんな上野氏が首相官邸でオフレコ懇談を開いたのは10月10日午後。居並ぶ番記者たちを相手に内外のトピックについて意見を交換した。話題は自然、物議を醸す埼玉の怪条例へと移る。記者に見解を問われた上野氏はこう言ったという。
「賛成です。子供をしっかりと見られる環境は大事ですから」
同日の同じ頃、火だるまになった条例案の撤回が表明されていたが、上野氏は持論を交えて条例を褒め称え続けたのだった。
「イギリスで子供を置いて買い物に行くと、近所から『あなたは犯罪者になってしまう』と怒られた。海外ではそんな認識が当然。ああいう条例ができるのはいいことだと思います」
前出の記者が話す。
「上野氏は過去に家庭教育支援法案のプロジェクトチームの事務局長をしていたことがあります。その際、『家庭教育ができていない親は責任を負っておらず、明らかに法律違反。支援法で改めて正す必要がある』と発言するなど保守的な教育観を持っている」
保護者が子供から目を離すことを禁じた怪条例は、働く親はもちろんのこと、家事に忙殺される専業主婦にも負担が大きい。「女性活躍」を担当する首相補佐官として、万が一にも容認できないのでは? 上野氏に電話で真意を聞いた。
怪条例の精神と食い違う自己流子育てを滔々と…
――「虐待禁止条例」に賛成すると発言した。
「オフレコとのことだったので申し上げた。条例の内容は知らないので、通ったらお話を聞きに行くかもしれません、とは話しました」
――女性の活躍を妨げることにはならない?
「考え方によってはそうですよね。ただ、世界から見たら条例案のようなものを整備した方がいいという意見もある。女性が安心して子育てできるような環境づくりを女性活躍担当として、ちゃんとやりますから!」
――自身は共働きだったが、子供にはどんな教育を?
「ちゃんと預かってもらっていたから、子供を1人で置いたことはないです」
――イギリスでも?
「向こうはボーディングスクールで寮があるので、子供の自立心も高くなる。帰国する際も、子供たちは小さかったけど『しっかり学ばなきゃいけないから帰りたくない』と言うので、子供は現地に残し、夫婦だけで帰ってきました」
怪条例の精神と食い違う自己流子育てを滔々と語る上野氏。旧統一教会との関係についても口を開いた。
「(旧統一教会の友好団体への支出は)全く知らないことでした。(解散命令は)ちゃんとやった方がいい」
最後に「私たちが頑張っていることをぜひとも取り上げて欲しい」と言い残し、上野氏は電話を切った。
女性より己の活躍優先?
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年10月26日号)