4年ぶりに地元をにぎわせるはずの華やかな山車はどうして横転したのか。静岡県伊豆の国市田京の路上で地元住民らが引いていた祭りの山車が横転し、1人が死亡、18人が重軽傷を負った事故。3連休初日に起こった惨事に、参加者たちは「一瞬の出来事だった」とぼうぜんとした表情で振り返った。
新型コロナウイルスの影響で今年、4年ぶりに復活した広瀬神社の山車の引き回しだった。先導した交通指導員の男性によると、この日は午前8時頃に近くの公民館を出発していた。
約40分後、橋を渡り終えて左折し、下り坂にさしかかったタイミングで山車がバランスを崩した。「ドーン」「ガシャーン」という大きな音を参加者は聞いている。
山車を引いていた男性(63)は「車軸が溝に入ったのか、バランスが崩れ、方向転換の最中にいきなり山車が下ってきた。危ないと思った直後には前につんのめるように倒れていた」と振り返る。別の場所で引いていた男性(43)は「『わー』と声が聞こえ、人がばたばたと倒れていった。本当に怖かった」と話した。
伊豆中央署によると、この事故で同市田京、販売業佐藤由己さん(72)が搬送先の病院で死亡し、小学生を含む18人が重軽傷を負った。
亡くなった佐藤さんの近所に住む男性会社員(63)は「佐藤さんは今回同じ地区の最年長として参加していた。毎朝、会釈や手をあげてあいさつをしてくれ、親切で朗らかな人だった」と話す。親戚という女性は「優しい方で面倒見も良かった。まさかこんなことになるなんて」と驚きを隠せなかった。
広瀬神社の西島善正宮司は「50年以上祭りに関わっているが、このような事故は一度もなかった。各種行事は中止になった」と悲しそうな表情を浮かべた。田京区長の男性(69)は「事故が起きて本当に残念だ。誠意をもって対処したい」と話した。