『地球上最悪の侵略的植物』ため池で大繁殖…各地で悲鳴「自助努力も限界超えている」

『地球最悪の侵略的植物』、脅威の繁殖力で深刻な被害となっています。 ため池に広がった植物。その旺盛な繁殖力から専門家などの間で「地球上最悪の侵略的植物」とも呼ばれています。 (兵庫県天満大池土地改良区 西澤一弘理事長)「その向こう一面とその手前、一番手前。いっぱい水面を覆いつくしている。倍々・倍に、倍どころか二乗で広がっていくさかい、今のこの状態で止めて駆除をしていかないといけない」 植物の正体はナガエツルノゲイトウ。南米由来の特定外来生物で、主にため池や水辺などに生息します。 兵庫県稲美町でため池などを管理する団体の理事長・西澤一弘さん。美しい田園風景が広がる自然豊かな町で、5年前から侵略が始まったといいます。 (西澤一弘理事長)「なんで広がっていくかというと、刈り取りをしたときに散らばってしまう。そうなったら手をつけられない」 農家にとってため池の水は欠かせない存在ですが、田んぼへの侵略をおそれ、水も使いにくい状況です。農業などへの影響も出る事態に町の人はこう話します。 「そら脅威やわ。せっかくのため池が台無しになるもんな。ため池の表面が全部埋まってしまったら水が汚れるしな」 被害は兵庫県だけでなく各地に広がっています。取材班は過去に、1000種を超える様々な生物が共存する滋賀県の琵琶湖での被害を取材していました。 水面を覆い尽くすナガエツルノゲイトウ。水中にカメラを入れてみると、根をびっしりと張り巡らせているのがわかります。その半年前に撮影された写真では水面が広がっていましたが、わずかな期間でここまで繁殖が進みます。別の場所ではボートを覆い尽くすほど大繁殖して動けなくなることもありました。 滋賀県では9年間で約21億円をかけて駆除を進めていますが、解決には至っていません。 兵庫県稲美町でもナガエツルノゲイトウへの対策に頭を抱えています。 (西澤一弘理事長)「対策的としては、黒いシートを、ずーっと護岸のところ全部、向こうの道路までする」 池の周り一面に張り巡らされた黒いシート。光を遮ることで光合成を防いで枯れさせる作戦です。実は市販の農薬も効かないんだそうです。半年ほど前に対策を行った場所では…。 (西澤一弘理事長)「これがナガエツルノゲイトウ。ピンク色はまだ死んでいない。茎が全部ピンクになって白になったら死滅やねん。そこまで1年かかる」 ため池などを管理する団体では、5年前からこれまでに対策費として500万円かけているということですが、駆除に向けての戦いはまだまだ続きます。 (西澤一弘理事長)「我々はもう5年前からできることは全部している。守備範囲の中は一生懸命しているが、外から入ってくるものはどうしようもできない。とりあえず私の代でこういった処理は終わらせたい」 こうした地域の人たちのSOSを受けて11月9日、兵庫県の県会議員が副知事にナガエツルノゲイトウの対策を求める申し入れ行いました。 (兵庫県議)「ナガエツルノゲイトウの生息域が河川・農業用ため池・水路などを中心に拡大傾向にあります。これに対する農業者等の自助努力も限界を超えている」 兵庫県は現地の状況を把握して必要があれば重点的に対策する地域への指定も検討するとしました。一度定着すると厄介なナガエツルノゲイトウ。対策が急務です。