遺体近くのクマの死骸 消防士襲撃の個体と同一と判明 首の刺し傷が致命傷 北海道・大千軒岳

北海道福島町の大千軒岳で大学生が遺体で発見された事故で、近くで死んでいたクマは首の刺し傷が致命傷で、先月31日に消防士を襲ったクマと同じであることが分かりました。
クマの死骸を探すため山奥を歩く調査隊。
福島町の大千軒岳には9日朝から道総研の研究者ら15人が調査に入り、6合目付近に残されたクマの死骸を回収しました。
その結果、分かったことはー
(道庁 ヒグマ対策室 武田忠義主幹)「首にナイフによるものとみられる深い刺し傷があった。気管の後ろ側まで達していて、大動脈を傷つけて致命傷となったと思われる。31日に3人の消防士を襲ったクマと同一の個体と確認できます」
この山では今月2日、北海道大学4年生の屋名池奏人さん22歳が遺体で発見されました。
先月29日、友人に「山に行く」と伝え行方不明になっていた屋名池さん。
遺体から数十メートル離れた場所にはクマの死骸があり、クマに襲われたとみられています。
この近くでは先月31日、登山中の消防士3人がクマに襲われる事故が起きていました。
「声を出したり爆竹を鳴らしたりしたがクマは向かってきた」
襲われた消防士によると、3人に近づいてきたクマはまず、中央にいた男性に襲いかかったということです。
隣にいた男性がナイフでクマの目を刺すと、クマはこの男性に覆いかぶさるように襲いかかりました。
男性がクマの首を刺したところ、ひるんだクマは斜面を下りて逃げていきました。
調査隊にはクマを撃退した消防士も参加。
9日の調査で、屋名池さんの近くで死んでいたクマは首の刺し傷が致命傷で、消防士3人を襲ったクマと同じ個体だと判明しました。
また、栄養状態は良好だったということです。
一方で、このクマが屋名池さんを襲ったかについてはー
(道庁 ヒグマ対策室 武田忠義主幹)「胃の内容物から警察が遺伝子を分析して遺体と一致するか確認します」
道総研などは、回収した死骸の歯や骨などからクマの年齢や何を食べていたかなどを調べる方針です。