【75年ぶり大麻取締法改正へ】ネットが主流となった大麻売買 手渡しの場合は「駅のホーム」が選ばれる理由

警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、新しく使用罪が大麻取締法に新設されることで注目の大麻売買について。
* * * 「野菜」と書かれた写真の横には、商品の銘柄、数量(グラム単位)、在庫状況に種類、価格が並んでいた。商品は香り、乾燥、仕上りなどで評価され、星によってランク付けされ、使用感に関する簡単なコメントが載せられていた。このサイトで「野菜」と称して売られていたのは大麻だ。ひと昔前なら「緑のお茶葉」などと売られていた大麻が、今は緑の葉から連想する「野菜」という隠語で取引されているという。
「最近は大麻もクスリもネット販売が中心だ。先日久々に会ったヤツに聞いたんだが、今はハッシュタグをつけて野菜と入力すれば、スマホで簡単に販売サイトが見れますよと言われてね。やってみたら、まぁすごいことになっていた」と目を丸くしていたのは、ヤクザをやめて久しい元暴力団幹部だ。彼が某組の組員に教えられたといういくつかのキーワードをスマホから入力してSNS検索すると、簡単にそのサイトにたどり着いた。表向きはいかにもおしゃれな食料品販売サイトに見える。閲覧するのに面倒な手続きは何もない。
「俺たちの頃とあまりに違っていて、このサイトには笑ったね」と言いながら、元幹部がコメントを読み上げていく。「作り手のこだわりとドライフラワーのような仕上がり、芳醇な香りと一口目からのおいしさなんて、コーヒー豆のオンライン販売みたいだよな」。公開されている写真には固形になった大麻草と、電子顕微鏡検査の写真が載っていた。コメントには「吸いすぎにお気をつけください」とある。「こうやって販売していて、お気を付けくださいはないよな」と元幹部は口の端を歪めた。
注文はネット経由、配送は手渡しか郵送。直接の手渡しには、「手押し」という隠語が使われている。足がつかないのかと聞くと、「ポストに投函してしまえば、どこから送ったかはわかるが、指紋を残さなければ誰が送ったかはわからない」。手渡しに使われる場所は、駅のホームが多いと聞いたという。
「俺が知っている頃はマンションやビルのエレベーターが多かったが、今はどこも防犯カメラがついているからね。路上も駐車している車の車載カメラや、通りがかりの車のドライブレコーダーに映り込む可能性が高い。防犯カメラの位置さえ把握していれば、駅のホームの方がヤツらにとってはリスクが少ない」と元幹部はいう。いざという時、駅のホームならすぐに電車に飛び乗って逃げられるという計算もあるようだ。
薬物中毒者に売人は無理?