栃木県那須町で2017年、登山講習会中に県立大田原高の生徒ら8人が死亡した雪崩事故で、業務上過失致死傷罪に問われた男性教諭3人の公判が14日、宇都宮地裁であった。前回に続いて被告人質問が行われ、渡辺浩典被告(60)は「直ちに避難できるので雪崩注意報を見る必要はない」と述べた。
渡辺被告は後続の班を引率していた。検察側から講習会中に雪崩注意報をチェックしていなかった理由を問われ、「見える範囲での短時間の行動のため、天候の急変があっても、直ちに避難できるので見る必要はない」と答えた。
死亡した生徒らの班を引率した菅又久雄被告(55)は、雪崩が起きた訓練範囲外に立ち入った経緯について、「(先に進んでいた生徒を)止めようとしたが、意思疎通ができておらず、言うことを聞いてくれなかった」と主張した。
次回11月22日は、講習会の責任者を務めた猪瀬修一被告(57)の被告人質問が予定されている。
起訴状によると、3人は17年3月27日、前夜からの降雪などで雪崩の発生を予見できたにもかかわらず、情報収集や安全な訓練区域の設定を行わないまま深雪歩行訓練を実施した過失により、雪崩で生徒7人と教諭1人を死亡させ、5人にけがをさせたとされる。
[時事通信社]