カニシーズンの日本海 景観損なう8月台風の大量ごみ

夏場は海水浴客でにぎわう鳥取市の鳥取港賀露(かろ)西浜海岸(賀露みなと海水浴場)に大量の木くずや竹、ヨシ、ペットボトルなどが漂着し、ごみの山となっている。8月に同市に襲来した台風7号により増水した川から日本海に流出し、河口の西隣に位置するこの浜に漂着した。11月中には撤去作業に着手予定だが、日本海の景観を損なう上、ごみの中には毒ヘビのマムシが潜んでいる恐れもあり、台風の爪痕の深さに観光客らが驚いている。
海岸に1160トン
「松葉ガニ(ズワイガニのオス)を買いにきたついでに浜辺に立ち寄った。友人からインスタ映えする写真が撮れると聞いてきたが、ごみの山で景色は台無し。これが台風の影響とは…」
大阪府茨木市から妻と訪れたという会社員(60)はこう嘆いた。賀露西浜海岸から歩いて数分の場所には、農水産物を販売する市場があり、ズワイガニ漁が解禁となった11月6日以降、週末ともなれば大阪方面からマイカーなどで観光客が詰めかけており、そのついでに海岸まで足を延ばす人は少なくない。
同海岸を管理する鳥取県鳥取港湾事務所によると、ごみは千代(せんだい)川河口の西側約1キロにわたって海岸線の砂浜に堆積している。このうち約730メートルが同事務所の管理エリアで、この範囲だけでごみの体積は約2500立方メートル、重量にすると約1160トンになると推定されている。
3カ月山積状態
台風7号は8月15日に鳥取県に最接近し、大雨特別警報が発令された。鳥取市佐治町では1日で515ミリの雨が降り、町内の橋の一部が崩落したのをはじめ、県東部を中心に一時孤立集落が出るなど大きな被害が出た。道路や農林施設の崩壊などが各地で相次ぎ、県は災害復旧経費としては過去最大の約367億円を予算化している。
この台風で、賀露西浜海岸のほか、この浜の東側に隣接する鳥取港にも木くずなどが大量に流れ込んだ。同事務所は、船舶の航行の支障になるとして、同港で緊急にごみを撤去したものの、同海岸については、ごみの量や処分方法の検討などに時間を要し、ごみは約3カ月にわたって山積状態となっている。
一方、同海岸の西側に位置する伏野海岸や、河口東側の鳥取砂丘の浜辺には、台風によるごみは漂着していない。同事務所によると、ごみは台風が遠ざかる際に吹いた北東の風に流され、河口沖の日本海から南西に位置する西浜海岸に漂着したとみられる。
県によると、平成29年9月と30年7月にも台風などの大雨で千代川が増水。日本海に流れ出たごみが賀露西浜海岸に漂着した。ただ、両年のごみの量は今回の5分の1から17分の1で、今回のごみの多さは突出している。
マムシも一緒に漂着
景観の悪化とともに懸念されているのは、漂着ごみにマムシが潜んでいる可能性があることだ。
「今回は見つかったという報告は入っていないが、過去には、川から流れ出たごみの中にマムシがたくさん潜んでいるのが見つかっている」
同事務所の細谷晴彦次長はこう打ち明ける。このため、浜辺の休憩所の柱に「マムシに注意」の張り紙をして、ごみに近寄らないよう注意喚起している。
こうしたこともあり、同事務所は、11月下旬には例年より少し早めに賀露西浜海岸の道路への車両乗り入れを禁止し、月内にはごみの撤去作業に着手する予定だ。
しかし、完全に撤去を終えるのには時間を要する見通しで、細谷次長は「海水浴場の営業に影響しないようにしたい。なんとか年度内に終えたい」と話す。ごみの分別など一部は手作業で行うため、処分費用の見積額は約4400万円にのぼるとしている。(松田則章)