陸自高機動車の海外流出、5業者が19両を「廃棄物扱いで輸出」と報告…実際には解体不十分か

陸上自衛隊の高機動車が売り払い後に海外流出した問題で、法律上は廃棄物扱いの解体自動車として輸出手続きが行われたケースが2012年以降の11年間に少なくとも19両あることがわかった。実際に輸出された車両もあった。部品を外すなどしただけの状態で、海外での再使用を前提にしていたとみられる。
陸自は耐用年数(14年)を過ぎた高機動車を入札で売り払う際、鉄くずにすることを落札業者に求めている。業者らはこれとは別に、一般車両を廃棄する場合と同様に、自動車リサイクル法に従って公益財団法人「自動車リサイクル促進センター」(東京)に解体や破砕の実施を報告する。
読売新聞が入札資料などをもとに落札業者や解体、破砕業者らを取材した結果、12年4月~今年4月に関東地方などの5業者が計19両について同センターに「解体自動車(廃車ガラ)として輸出する」と報告していた。陸自は19年3月、転売を防ぐため入札規定を改め、鉄くずにした証拠画像を提出するよう義務付けている。だが、19両のうち11両は、規定を変更後の19年7月~22年7月の入札で売り払われたとみられる。
別の4両は、関東地方の金属くず卸会社が落札した後、20年6月に千葉県の解体業者が「廃車ガラ輸出」を同センターに報告していた。最終的に別の業者が海外向けサイトで売り出したが、本紙が高機動車の海外流出問題を報道した今年9月に販売を中止した。
17年6月には、山陰地方の中古自動車部品販売会社が1両を輸出すると同センターに報告。同社の担当者は「車を切断したが、再生できる程度で、ロシア・ウラジオストクの業者に売った」と証言した。過去にも同様の方法で十数台の自衛隊車両を輸出したという。
環境省リサイクル推進室などによると、有害物質などを取り除いた廃車ガラは、廃棄物扱いのまま、自動車部品の用途で輸出が可能だ。しかし、経済産業省自動車課は「廃車ガラが輸出先で再生されることは、自動車リサイクル法の趣旨に反する」と指摘する。
防衛装備庁の担当者は「個別の事案には答えられない」としている。
◆解体自動車=廃車を解体後の部品や材料などを指し、「廃車ガラ」と呼ばれる。「ハーフカット(半分に切る)」「エンジン取り外し」「サスペンション取り外し」などの処理のいずれかが行われ、廃棄物として扱われる。
甲信越地方の中古車輸出会社が9月下旬まで自社サイトに掲載していた画像。公的システムに「解体自動車として輸出する」と報告されていた=画像は一部修整しています