大分給食事故 遺族が訴訟で「お金ではなく、娘の命を返して」

「真実が知りたい」。大分県別府市の県立南石垣支援学校で給食をのどに詰まらせて死亡した林郁香(ふみか)さん(当時17歳)の遺族が1日、県などに損害賠償を求めて大分地裁に提訴した。提訴後に大分市内であった記者会見で両親はこう語り、安全が最優先されるはずの学校生活で娘を失った無念をにじませた。
県教委が設置した第三者委の報告書によると、担任は重度の知的障害があった林さんの給食中にそばを離れ、1人にしていた。林さんは誰にも見守られていない状態でのどを詰まらせて倒れた。直後に駆け付けた養護教諭らは、出血に動揺するなどし、呼吸の確認や気道確保、胸部圧迫などの心肺蘇生をしなかった。記者会見で林さんの母、香織さん(49)は「プロとしてありえない、いいかげんな対応が事故につながった」と批判した。
第三者委は報告書で、教職員らが林さんを1人にしたことや適切に心肺蘇生をしなかったことを「大きな問題」と指摘したが、死亡との因果関係は明記しなかった。また、報告書によると、駆け付けた養護教諭が「また1人やん」と発言するなど、林さんがたびたび給食中に1人にされていた可能性が浮かぶが、その点も究明されていない。香織さんは「裁判を通じて教職員の責任を明らかにしたい」と語った。
2日で林さんが亡くなってから3年になる。林さんはいつも笑顔を絶やさず、毎日を本当に楽しそうに生きていた。香織さんは「裁判で娘の命をお金という形に換えて争わなくてはならないのはつらい。お金ではなく、娘の命を返してほしい」と涙ながらに訴えた。
父、和男さん(47)は「裁判を通じて娘のことを知ってもらいたい。『事故に遭う人がいなくなってほしい』との思いで闘いたい」と話した。【樋口岳大】