2016年4月の熊本地震で損壊した熊本市民病院(熊本市東区)で入院中に被災し、災害関連死に認定された熊本県合志(こうし)市の宮崎花梨(かりん)ちゃん(当時4歳)の母さくらさん(40)が2日、移転再建した市民病院の敷地内にフランスギクを植えた。東日本大震災で娘を亡くした遺族との縁で、花を通じて震災の記憶を残すプロジェクトを知ったさくらさんは「花を見て、病院が新しくなった理由と命の大切さを思い出してほしい」と願う。
市民病院は震災当時、耐震基準を満たしておらず、全入院患者310人が転退院を余儀なくされた。重い心臓病を患っていた花梨ちゃんも福岡市の病院に転院したが、長時間の移動が負担になり5日後に息を引き取った。
失意の底にいたさくらさんは昨年、東日本大震災で犠牲になった宮城県石巻市の佐藤愛梨(あいり)ちゃん(当時6歳)の母美香さん(44)と交流するようになり、愛梨ちゃんが見つかった場所に咲いていたフランスギクを全国に広げる「アイリンブループロジェクト」を知った。
「花を通じて地震の記憶を伝える」というプロジェクトの趣旨に共感。建て替えられる市民病院でフランスギクを育ててほしいと手紙を送ると、熊本市の大西一史市長も賛同してくれた。新病院に植栽する50株を自宅の庭で育て始めたが、毎日水やりを欠かさず、すくすくと成長する姿が娘と重なった。「花梨と一緒にいるようで、心の支えになった」
新病院は6月に完成。さくらさんは診療が始まる今月7日以降、花の世話を兼ねて、院内の入院患者家族滞在施設「ファミリーハウス」で清掃ボランティアに携わる。「患者や家族の力になれたらうれしいし、その方が花梨も喜んでくれる」
敷地に植えたフランスギクが白と黄色のかれんな花を咲かせるのは震災があった春。「花を見て、娘や地震のことを思い起こしてほしい」【城島勇人】