自民党裏金問題、安倍派幹部の「聴取」開始 二階俊博氏は陳謝、次期衆院選不出馬を表明 問われる岸田首相〝ケジメ〟の付け方

岸田文雄首相(自民党総裁)は26日から、派閥のパーティー収入裏金事件をめぐり、安倍派(清和政策研究会)幹部への聴取を始める。安倍晋三元首相の「還流廃絶」の指示を無視した結果責任を問うようだ。ただ、首相や岸田派(宏池会)にも問題が指摘されており、筋違いとの批判もある。二階派(志帥派)を率いた二階俊博元幹事長が次期衆院選への不出馬を表明したことを受け、ケジメの付け方が問われそうだ。
「できる限り、実態解明を行ったうえで政治的、道義的責任について方針を確定したい」「国民の疑念などを考え(自ら)聴取を行いたい」
岸田首相は25日の参院予算委員会で、こう語った。
自民党執行部は裏金事件に絡み、来週にも関係議員の処分を決める方針。こうしたなか、岸田首相は26、27両日、安倍派幹部の塩谷立元文科相、下村博文元政調会長、西村康稔前経産相、世耕弘成前参院幹事長と個別会談し、事情を聴くという。
安倍派では2022年、安倍氏の指示で「還流廃絶」が決定したが、同年7月に安倍氏が凶弾に倒れると還流が継続された。4人については同年8月に集まり、還流継続を決めたとの指摘がある。
4人が出席した衆参の政治倫理審査会では、継続の経緯は判明しなかったが、執行部は結果責任があると見ている。党の規約で4番目に厳しい「選挙非公認」か、それ以上の処分を検討する。
ただ、岸田首相による聴取には、冷淡な声が上がる。
自民党ベテラン議員は「岸田首相は、政治改革の先頭に立ち『火の玉になる』とタンカを切ったが、安倍派だけをつるし上げる対応では醜悪さが強調される」と語る。
そもそも、岸田首相は22年、政治資金パーティーを年7回も開き、1億3000万円以上の利益を上げた。大臣規範への逸脱が指摘される。岸田派もパーティー収入など3000万円を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、元会計責任者が東京地検特捜部に立件されている。
野党幹部は「岸田首相の聴取は、9月の総裁選や次期衆院選を意識したパフォーマンスだ。自分の疑惑を晴らさず他人を聴取する神経には驚きしかない」と突き放す。
こうしたなか、二階氏が25日、次期衆院選への不出馬を表明した。二階氏は自ら出処進退を決断し、「政治責任は当然すべて私にある」と陳謝した。関係議員らも厳しい処分が免れない情勢となった。
その中に、岸田首相も含まれるのか。改革の〝本気度〟が浮き彫りになりそうだ。