菅義偉首相は21日、新型コロナウイルス感染が広がる東京都、大阪府、兵庫県に対する緊急事態宣言発令を23日の対策本部会合で決める意向を固めた。期間は4月下旬からの大型連休を含める方針。京都府も発令対象とする方向だ。政府は宣言に伴う休業要請など具体的措置の調整を進めた。大阪府の吉村洋文知事はテーマパークなど大型商業施設の休業に加え、飲食店の土日祝日の休業と酒類提供の全面自粛を国に要請する考えを表明。東京都と兵庫県も商業施設の休業要請を政府と協議している。
東京都はこの日夜、緊急事態宣言の発令を政府に要請した。関係者によると、東京都側は政府に対し、休業要請の対象に百貨店やショッピングセンター、遊興施設、テーマパークなどの商業施設を含めるよう要望。期間は遅くとも今月26日までに開始し、期限を5月9日から16日までの間とする2~3週間程度で政府と調整を進めている。
この日、都で報告された新規感染者は843人。3月21日の宣言解除後の最多を更新した。感染者数は増加傾向が続き、変異株の割合も増えて再拡大の懸念が強まっている。
小池百合子知事は都庁で報道陣の取材に応じ「ゴールデンウィークを前に、このタイミングで宣言をピシッと出すことも必要」と見解を示した。休業要請などの措置については「国と協議を重ねて手続きを進めていく」と述べるにとどめた。期間については「私の感覚として、長いと途中でだれてしまうことを経験し、また慣れが来てしまうので、できるだけ効果が高く、だらだらしない方法がいいのではないか」とした。
休業要請対象に百貨店やショッピングセンターなどの商業施設を含めるのは、昨春の1度目の宣言以来のこと。昨年4月の百貨店売上高(全国)が前年同月比72%減(日本百貨店協会)と壊滅的な打撃を受けていることなどを考慮しても、踏み込んだ措置と言えそうだ。都幹部は「多くの百貨店や映画館などを閉じてもらった昨年の措置が最低ラインではないか」と話すが、一部業種の休業に政府から難色を示されているという。