東京都目黒区の船戸結愛ちゃん=当時(5)=が虐待死した事件で、傷害と保護責任者遺棄致死などの罪に問われた父親の雄大被告(34)の裁判員裁判が4日、東京地裁(守下実裁判長)であり、雄大被告は被告人質問で「怒りがコントロールできなかった」と虐待の理由を語った。「手加減せず殴った。発覚を恐れ、保身で病院に連れて行かなかった」と説明した上で、「親になろうとしてごめんなさい」と結愛ちゃんに謝罪した。
結愛ちゃんは母親の優里被告(27)=懲役8年、控訴=の連れ子で、雄大被告によると、「両親そろっていた方がいい」と考え結婚したが、夫婦で育児について話し合う中、優里被告のことを泣くまで威圧したり、怒鳴り続けたりした。矛先は結愛ちゃんにも向き、「口で説明していたが、怒りが強くなって暴力に向いた。自分の思い描いた理想というエゴを押し付けた」という。
2018年1月23日に一家で目黒区に転居する前、先に上京していた雄大被告は、結愛ちゃんから自分のいない間の生活を「普段と違ってたくさん食べ、勉強をしなかった」と聞き、「怒りが爆発した。コントロールが利かなかった」と述懐。以降、食事を一日一食に制限したり、外出させなかったりしたと語った。
雄大被告は、結愛ちゃんの命の危険を認識したのは死亡前日の「3月1日」と繰り返したが、2月下旬の暴行については、「風呂場でシャワーの冷水を顔に数分間浴びせ、馬乗りになって手加減せず複数回殴った」と詳述し、その後の結愛ちゃんの様子を「体重が減り、嘔吐(おうと)していた。病院に行く必要があると思った」と説明。「虐待が発覚し、逮捕されると思った。保身で病院に連れて行かなかった」と述べ、結愛ちゃんが3月2日に死亡した際、「頭が真っ白になった」と声を震わせた。
[時事通信社]