国土交通省仙台河川国道事務所や県などでつくる阿武隈川水系水質汚濁対策連絡協議会は3日、宮城県岩沼市の阿武隈川支流「五間堀川」に、「TOYO TIRE(トーヨータイヤ)仙台工場」から消毒に使用する次亜塩素酸ソーダ約250リットルが流出し、魚が大量死したと発表した。同工場は2日午後6時ごろ流出元を閉鎖した。
仙台河川国道事務所によると、2日午後3時半ごろ、住民から岩沼中学校付近の五間堀川で川魚が大量に死んでいると岩沼市役所に通報があった。同市から連絡を受けた県が水質調査などをしたところ、同工場からの次亜塩素酸ソーダ流出が原因だと判明した。
同社によると、次亜塩素酸ソーダはタイヤ製造工程で使う冷却水を滅菌処理するために使用。通常は希釈して近くの五間堀川に流しているという。しかし、今回は何らかの原因で高い濃度で流出したとしている。
同工場は3日朝から、次亜塩素酸ソーダの排出口付近から下流約1・2キロにわたり、従業員約50人が五間堀川で死んだコイやフナ、ハゼなどの回収作業をした。
魚の大量死を発見し、岩沼市に通報したという住民の安藤清一さん(65)は「発見した当時、多くの魚が浮いたり、もがいたりしていて驚いた。この辺では子どもたちが釣りをするので、もし口に入ったりしたら大変だと思い連絡した」と話した。近くの主婦も「工場のミスで生態系が崩れてしまい大変残念だ。二度と繰り返さないでほしい」と訴えた。
トーヨータイヤは「多大なるご心配とご迷惑をおかけし、心よりおわび申し上げます。今後、原因究明を急ぐとともに再発防止を徹底してまいります」とのコメントを発表した。【吉田勝】