裏金問題は逮捕者まで出す大事件だったにもかかわらず、国会質疑ではノラリクラリとはぐらかす。衆参両院の政治倫理審査会に出席した裏金議員は反省する素振りを見せながら、そろって「秘書が」「知らなかった」を連発。その厚顔無恥な姿勢から「ゾンビ政党」などと揶揄する声も出た自民党だが、「死んだふり」をするのも長くは持たなかったようだ。
時事通信は自民党内で議員のグループ化に向けた動きが活発化している状況を報道。それによると、昨秋の総裁選に出馬した高市早苗・前経済安全保障担当相(63)は昨年12月、保守系議員らでつくる「保守団結の会」の懇談会に出席した際、「もう一回みんなで結集して頑張ろう」と呼び掛けたといい、新たな政策勉強会の発足を検討している、と報じた。
やはり総裁選に出馬した小林鷹之・元経済安保相(50)も勉強会を新設。ネット番組で「いずれ総裁選はある。挑戦できるように仲間との関係をつくっておく」と意欲を示したという。
少数与党に転落した石破政権の支持率は4割台と低迷。今夏は参院選もあり、「次」を見据えた準備の動きとして「仲間づくり」と「連携強化」を図りたいのだろう。
「党内の結束を呼び掛ける」のが目的らしいが、動きを見れば新たな「派閥づくり」と変わらないだろう。裏金事件の温床になったとして自民党が世論に強くアピールした「派閥解散」とは一体何だったのか。
■「派閥ありきの自民党から完全に脱却する」ではなかったのか…
とりわけ驚きなのが岸田文雄前首相(67)だ。アジア脱炭素化に向けた議員連盟の最高顧問に就任し、「資産運用立国議員連盟」も発足。今も旧岸田派議員らと会食を重ね、議員同士の結束に努めている、というからだ。
だが、岸田氏といえば裏金事件を受け、昨年、真っ先に派閥解散を決めたのではなかったのか。
「信頼回復のためにも真っ先に総裁派閥が解散することで範を示したい」「派閥ありきの自民党から完全に脱却する」「派閥を解消し、真の政策集団になってもらう」
岸田氏がこう“宣言”して岸田派を解散したのを受け、旧安倍派や二階派、森山派などもこれに続いた。新聞やTVでは「長く続いた派閥政治の終焉」「派閥政治からの脱却」などと報じられていたのに、派閥解散から1年も経たずに新たな「派閥づくり」「古い自民党の復活」とは開いた口が塞がらない。
しかも、派閥解散のきっかけとなった裏金事件の全容や真相が解明されたのであればともかく、いまだに何も分かっておらず、責任の所在も曖昧のまま。これでは国民の理解は到底、得られないのではないか。
《解散からあっという間に派閥づくりの動きって。こういうことは早いね自民党》
《カネの切れ目が縁の切れ目ということを痛感したんだろうね》
SNS上では呆れや怒りの声で溢れている。つくづく国民を愚弄した政党だ。
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