〈 《フィリピンの妻は「突然、夫と連絡がとれなくなった」》“東大阪バラバラ遺体”大木滉斗容疑者(28)と被害者の国交省職員(52)を結ぶ点と線「小柄な男性をつけ狙ったか?」 〉から続く
1月25日、奈良県と大阪府の境にある生駒山で、国土交通省勤務の神岡孝充さん(52)がバラバラに切断された遺体で発見された事件。2月3日、遺体を遺棄したとして大阪市内に住む無職の大木滉斗(ひろと)容疑者(28)が逮捕された。
容疑者と被害者は、 同じマンションの別の階に住んでいたことがわかっている 。詳しい経緯や動機などは現在も捜査中だが、事件の細部が徐々に露わになってきた。
社会部記者が解説する。
「1月10日ごろ、大木は、神岡さんのキャッシュカードを使って、コンビニのATMで3回にわけて現金50万円を引き出していた。金目的の事件である可能性も視野に入れて捜査を続けている」
取材班は、事件当日である12月28日、大木が遺体を運搬している姿が映された防犯カメラの映像を複数入手した。
まずは18時20分頃の映像。自宅マンションから300メートルほど離れた路上で、キャリーバッグの上に保冷バッグ置いて、運んでいる様子が映されていた。大木は、全身黒ずくめの服装で、髪の長さが肩下まである金髪のかつら姿に変装していた。
次の映像は18時40分頃、大木が利用したとみられている駅近くの防犯カメラである。
一転、金髪のかつらを外し…
金髪のかつらは外され、キャップにマスク姿の大木が映っている。さらに被害者の頭部が入っていたとされる保冷バッグも見当たらず、運んでいるのはキャリーバックのみ。
「被害者の頭部は自宅から徒歩圏内の廃マンションで見つかっています。大大木は自宅から駅まで歩き、額田駅へ移動し、生駒山でスーツケースと遺体を遺棄したとみられています」(同前)
取材班は、大木が生まれ育った大阪府箕面市へ向かった。
大木は1996年生まれできょうだいはいない。母は家でピアノ教室を営み、夫婦仲も良好で、ごく普通の家庭で育った。地元の小学校に通い、特に問題を起こすタイプではなかったと同級生たちは口を揃えるが、ある同級生はこんなトラブルに見舞われた。
「5年生の時、大木君を僕の祖母の家に招いてデュエル・マスターズのカードゲームで遊んだことがあるんです。その時に、僕が大事にしていたレアカードがなくなった。祖母の家に出入りしていた友達は大木君だけで、犯人は大木君だと思って問い詰めたんです。すると彼は怒った様子で面と向かって『死ね』と言い放った。普段はおとなしい子だったので、びっくりしました。彼とはその件をきっかけに疎遠になってしまった」
音楽が得意な学生だったが…
一方、中学校の同級生は「至って真面目な子でしたよ。勉強はよくできたと思います」と話す。中学を卒業すると大阪府内でも有数の進学校に進学。高校卒業後は、浪人して和歌山大学のシステム工学部に入学。学内の吹奏楽団に入団した。
同じ学部だった大学時代の友人が大木のことを振り返る。
「大木君は当時学生寮に入っていたので、大学終わりに彼の部屋へ遊びに行ったことがありました。ネックが2本ある少し特殊なエレキギターを出して、目の前で演奏してくれました。音楽が好きなんですよね。学内にピアノが置いてある場所があるんですけど、そこで大木君がピアノを披露してくれたことも。本当にすごい上手で、ショパンや“報道ステーション”のテーマ曲など色々と聴かせてくれた」
だが、大木は、次第に大学から距離を取るようになっていったという。友人が続ける。
「2年生から授業が別だったということもありますが、段々と学内で大木君を見かけなくなりました。気づいたら所属していた学内の吹奏楽団も辞めていた。その頃から大阪府内にある他の大学によく出入りして、バンドを組んだりしていたみたいです」
大学の卒業式で飛び出した衝撃の一言
次第に大木とは疎遠になったというこの友人だが、卒業式で久しぶりに再会した。すると大木の口から思いがけない言葉が飛び出したという。
「卒業式の日、いつも大木君がピアノを披露してくれていた思い出の場所で、2人で話したんです。大木君は、卒業式だったのにスーツじゃなく普段着で大学に来ていたので、話を聞いてみると大学を中退するということでした。さらに驚いたことに大木君は、『暴力団に入る』と言うんです。突然なこともあり、そんなイメージもなかったので、本当なのか信じられませんでしたが、本人はそう説明していた。その数か月後にも連絡を取る機会があり、その際には風俗だかキャバクラの給料の計算をしていると話していました」(同前)
これを最後に、友人は大木と連絡を取っていないという。真面目な音楽青年は、なぜかくも凄惨な事件を引き起こすに至ったのか。
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