韓国・忠清南道との日韓交流行事について山下真・奈良県知事は13日、事業費を当初案の約1割に当たる2900万円に圧縮して2025年度当初予算案に盛り込むと発表した。参加費無料は維持したが、超有名歌手の出演は難しいとの見方を定例記者会見で示した。「超有名歌手が来れば喜ぶ県民もいたと思うが、最高意思決定機関である県議会の意向も踏まえた」と話した。
開催は10月24日の予定で、会場はなら100年会館大ホール(奈良市、最大1476人収容)。K―POPライブに加え、両国の伝統芸能や学生によるダンスが披露される。忠清南道からは、プロ歌手グループ2~3組(未定)の他、K―POPを専門的に学びタレントや歌手デビューを目指す若者らが通う「K―POP高校」の生徒らが来る。
事業を巡っては、奈良公園でK―POPの超有名歌手による無料ライブをする当初案だと県負担額が2億7000万円以上と見込まれたことから県議会が費用対効果などを疑問視。議員らが費用節減を求める申し入れ書を2度にわたって知事に手渡していた。
申し入れを受けて県と忠清南道は協議を進め、7日に山下知事が金泰欽(キム・テフム)知事とオンラインで会談して最終的に決めたという。屋内開催に変えることで警備費を、超有名歌手を呼ばないことで舞台設備費を、それぞれ大幅に圧縮した。
忠清南道から派遣される歌手については、女性グループ「TWICE」や「ILLIT」も含む「S・A級」と呼ばれるカテゴリーから1組招く案もあったが、その場合、舞台設備を大幅に充実させるため負担額が2億7000万円から削れないこともあり見送った。13日の記者会見で山下知事は「大幅に予算を圧縮しているので県議の皆さんにも十分にご理解いただけると思う」と話した。
24年末の県議会12月定例会で既に可決された補正予算案に盛り込んだ関連予算は2月定例会で全額減額する。
また忠清南道との交流事業としてはライブとは別に文化セミナーも開くとしている。【川畑岳志】