厚生年金「106万円の壁」撤廃、山形の福祉施設が閉鎖へ…社会保険料増加で負担できず

段階的な廃止が検討されている厚生年金の「106万円の壁」を巡り、山形県新庄市の障害福祉サービス「ユニオンソーシャルシステム」が、年収要件の撤廃により増額する人件費を負担できないとして、運営する就労継続支援A型事業所7か所を来年3月末で閉鎖することが同社への取材でわかった。雇用する障害者217人は整理解雇する。
厚生労働省障害福祉課によると、同様の理由で事業所を閉鎖する事例はこれまで確認されていない。
同社は県内5市町の7事業所で、主に野球の硬式球を生産している。同社によると、「106万円の壁」が撤廃された場合、217人分の社会保険料(厚生年金、健康、介護)として新たに年間約6800万円が必要になる見通しだという。それに見合う増収は見込めないとして、全事業所の閉鎖を決めた。
同社は今後、利用者の転職支援を行うほか、同社が運営する雇用契約を結ばない「B型事業所」でも受け入れる方針という。