斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題に絡み、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏に真偽不明の文書をリークしたとして、日本維新の会から除名処分を受けた岸口実県議に対する議員辞職勧告決議が県議会で焦点となる見通しだ。古巣にあたる維新県議団は週内にも総会を開き、決議案の提出について検討する方針。他会派にも議員としての資質を疑問視する声がある。
岸口氏は知事選告示翌日の昨年11月1日、神戸市内のホテルで民間人とともに立花氏と面会。告発者の私的情報のほか、竹内英明元県議について斎藤氏を陥れた「黒幕」などと記載された文書を提供した。
誹謗(ひぼう)や真偽不明の内容が含まれていたが、立花氏は文書を交流サイト(SNS)で公開。告発者や竹内氏らへの中傷被害を招いた。竹内氏は斎藤氏の再選後、県議を辞職。今年1月に亡くなった。自殺とみられる。
2月26日に除名処分を受けた岸口氏は、無所属で活動すると表明。維新県議団から離脱したが、風当たりは強い。
維新の吉村洋文代表(大阪府知事)は岸口氏に辞職を要求。維新県議団の幹部は、岸口氏が県議選で維新公認を得た際に「除名処分を受けた場合は公職を辞職する」との誓約書を提出していたのを踏まえ、「本来は自ら辞職すべき」だと指摘する。
県議団は同月28日に総会を開き、岸口氏への議員辞職勧告決議案の提出について協議したが、結論を持ち越した。今週にも再び総会を開き、意思決定する。
県議会調査特別委員会(百条委)の非公開の音声データを漏らしたとして、維新から離党勧告処分を受けた増山誠氏についても政治家としての責任を問う声があり、県議会の動向が注目される。ただ、辞職勧告決議に法的拘束力はなく、県議会で可決されても両氏が辞職するかは不透明だ。