“あるニュース”が、中央政界だけでなく、ネット上でも賛否が交錯する形で複雑な波紋を広げている。立憲民主党が今夏の参議院選挙の比例代表候補者として、同党の参議院議員だった蓮舫氏(57)を擁立する方針を固めたというものだ。
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昨夏の東京都知事選挙で現職の小池百合子氏に大差をつけられただけでなく、石丸伸二・元安芸高田市長にも引き離され、3位に沈んだ蓮舫氏。その政界復帰については、立憲内部も含め、「わずか1年での出戻りはあまりにも無節操」(閣僚経験者)などの批判が相次いでいる。
立憲民主党としては、抜群の知名度を誇る蓮舫氏を「次期参院選での最強の応援弁士」(党幹部)として、全国の立憲候補を後押しさせるのが狙いとみられる。だが、「今さら蓮舫氏に頼らざるをえないところが、立憲の弱点」(選挙アナリスト)との厳しい指摘も多い。
加えて、蓮舫氏は野田佳彦代表の“盟友”としても知られるだけに、立憲内部でも「露骨な野田人事」(若手)との不満が漏れる。このままでは野田氏の参院選戦略も問われかねない状況だ。
もともと同党は次期参院選への対応について、今年度活動計画で「与党の改選過半数割れを目指すとともに、より大きな目標である全体としての与党過半数割れに向けて勢いをつける」との目標を掲げている。
確かに、蓮舫氏は都知事選で3位だったものの約128万票を獲得しており、同党として「“蓮舫効果”を最大限活用して、大票田の東京を中心とした比例票のかさ上げを狙っている」(政治ジャーナリスト)とみられる。
参院4期で「立憲最大の女性スター」
蓮舫氏は東京都出身で、タレント、キャスターなどを経て、2004年の参院選東京都選挙区で初当選。旧民主党政権の行政刷新担当相や民進党代表を務めたことなどから、「立憲民主の最大の女性スター」(有力女性議員)とみられてきた。
政治家としてつねにスポットライトが当たるキャリアを歩んできた同氏は昨年、4期目の途中で参議院議員を辞職し、7月の都知事選に無所属で出馬。立憲、共産両党の支援を受けて当選を目指した。
しかし、結果は前述したとおりの惨敗。落選直後にはSNS上で「今は、国政選挙はもう考えていない」と、国政復帰を否定していた。
こうした経緯も意識してか、野田代表は3月7日の定例会見で記者団から蓮舫氏の参院選比例代表擁立について問われると「個別の候補予定者のプロセスについてお話しすることは控えたい」などとはぐらかした。